この記事のまとめ
3行でわかる要点
- 10月22日、衆議院第一議員会館でフレイル・認知症予防のシンポジウムと始動式を開催。
- 健診データのAI解析と日常の声かけを組み合わせ、食事・運動・社会参加・健診受診につなぐ構想を紹介。
- HEROレポート・HEROアクションを軸に連携を進め、2027年2月頃の会員募集、3月初旬の本格活動開始を予定。
介護現場への影響
日常の変化への気づきを、地域の予防活動や相談につなぐ取り組みです。講演では栄養・身体活動・社会参加を含め、生活全体に目を向ける重要性が示されました。
確認・行動すること
活動への参加・連携を検討する自治体や事業所は、今後の募集案内と具体的な参加条件を事務局に確認してください。
写真:一般社団法人ジャパンデザイン提供資料より。2026年10月22日、衆議院第一議員会館での「声かけ出陣式」。
一般社団法人ジャパンデザインが事務局を担う「フレイル・認知症予防 声かけプロジェクト」は、2026年10月22日、衆議院第一議員会館の地下セミナールームで「フレイル・認知症予防声かけシンポジウム2026」と「プロジェクト始動 声かけ出陣式」を開催しました。時間は10時から12時30分。健診データのAI解析で把握した健康課題を、暮らしの中の行動につなげる構想を紹介しました。
本記事は編集部に直接提供されたニュースリリースと、10月29日付の主催者の公開発表に基づく開催報告です。登壇者の発言は資料の内容を要約しています。
「健康が貢献に」を掲げ、官民で地域の健康づくりへ
冒頭では、事務局長の山下太郎氏(一般社団法人ジャパンデザイン代表理事)が活動の趣旨を説明しました。キーワードは「健康が貢献に」。一人ひとりの健康づくりを家族の安心や地域の活力にもつなげ、自治体・企業・民間団体等が連携して支えることを目指します。
活動には「熱中症予防声かけプロジェクト」で培った自治体や企業等のネットワークと啓発活動の経験を生かします。行政の健康事業と、店舗・企業が持つ住民や顧客との接点を結び、予防を意識して行動しやすい環境づくりを進める構想です。始動式では、実行委員長の酒谷薫氏がプロジェクトの開始を宣言しました。
健診データのAI解析を、予防行動や相談のきっかけに
酒谷氏(東京大学特任研究員/株式会社AI予防医学研究所代表取締役)は、既存の健診の血液検査データ等を解析するAI「AICOG®」と、脳と身体の健康度を表す指標「BBHI」を解説しました。地区や年代ごとの傾向を把握し、予防活動の検討に役立てるモデルを提示しています。
講演では、AIによるリスク評価と認知機能検査による実測を組み合わせ、予防や適切な相談につなぐ考え方を紹介。山梨県内の自治体での解析事例にも触れ、地域差や年次変化を把握する可能性を示しました。山梨県の担当者からも、大学との協定に基づく分析や県民向けセミナーの取り組みが報告されました。
身近な声かけから健康教室や介護予防プログラム、必要な医療への相談につなぎ、分析・予防活動・評価の循環を健診サイクルに組み込む方向性です。なお、主催者はAICOG®について、現在の認知機能を直接測定するものではなく、医療機器でも診断を行うものでもないと説明しています。
栄養・身体活動・社会参加からフレイルを捉える
葛谷雅文氏(名鉄病院病院長/名古屋大学名誉教授)は、加齢に伴う心身の予備能力の低下や、暮らしの中で気づける変化を解説しました。意図しない体重減少、疲れやすさ、歩く速さや筋力の低下、活動量の減少などを挙げ、身体面だけでなく心理面や社会とのつながりも含めて捉える重要性を伝えました。
栄養面では、高齢期に低栄養や体重減少を防ぐ視点を紹介。筋力の低下、活動不足、食欲の低下、低栄養が互いに影響する悪循環にも触れました。そのうえで栄養・身体活動・社会参加を三本柱とし、会話や地域活動、誰かと食事を共にする機会などを、継続的な行動へつなげる大切さを説明しました。
パネルでは運動の継続、早期の気づき、自治体への展開を議論
パネルディスカッションには酒谷氏のほか、元競泳日本代表の岩崎恭子氏、元藤沢市長で一般社団法人地域から日本を変える代表理事の海老根靖典氏、テオリア・テクノロジーズ株式会社代表取締役CEOの坂田耕平氏が登壇しました。
- 岩崎氏:水中で歩くなど、競技的な水泳に限らない運動の選択肢を紹介。自分に合う無理のない続け方や、家族・地域との関わりについて話しました。
- 坂田氏:認知症の情報提供、認知機能のセルフチェック、オンライン相談、職域での啓発等を紹介。早期の気づきと本人・家族の生活をサービスで支える考え方を説明しました。
- 海老根氏:行政の制度・予算・枠組みと地域住民の理解の必要性を指摘。部署を越えた理解や、自分に関係する課題として受け止めてもらう啓発を課題に挙げました。
- 酒谷氏:自治体の分析・提言と住民向けセミナーを組み合わせる事例を補足。希望者への分析結果の返却や、食事写真等を活用して取り組みを追う例にも触れました。
HEROレポートとHEROアクションを軸に連携を進める
事務局の湯汲直人氏は、今後の活動と民間企業等との連携例を紹介しました。開発中の「HEROレポート」は、健診データとAICOG®の解析、BBHIスコア等を活用し、地域・年代・企業拠点等の健康課題を見える化する構想です。個人を特定しない統計情報として傾向を捉え、対策の対象や内容を検討するための情報を提供するとしています。対策によるスコアの変化を見通すシミュレーションにも言及しました。
「HEROアクション」は、把握した健康課題を踏まえ、自治体と賛同企業が協力する予防活動です。店舗での健診受診の呼びかけ、スーパーでの食の提案や試食、飲食店の健康メニュー、運動施設の体験、カラオケやカフェ等への外出・交流を例示しました。保険会社が顧客へ個人向けレポートを提供し、他の主体と予防活動を行う案も想定しています。
これらは今後の活動構想・連携例です。今回の資料は、各サービスが全地域で提供開始したことや、プロジェクトの予防効果が実証されたことを示すものではありません。
2027年2月頃に賛同会員募集、3月初旬に本格活動を予定
自治体・企業・民間団体等の参加を募り、各主体のサービスや住民・顧客との接点を組み合わせる方針です。主催者は、2027年2月頃の賛同会員募集開始、同年3月初旬の本格的な活動開始を予定しています。日程や条件は今後変更される場合があります。
参加費や対象地域などの詳細は、今回の資料では確認できません。参加・連携に関する問い合わせ先は、フレイル・認知症予防 声かけプロジェクト事務局(一般社団法人ジャパンデザイン、担当:山下・湯汲)。メールはinfo@kenkoken.jp、電話は03-5720-2258です。
介護福祉士ニュースの考察
編集部の見解
今回の構想は、健診で見えた課題と、店舗や地域活動での身近な接点を結び付けようとする点が特徴です。介護事業所が連携を検討する際は、本人の希望をどう受け止め、必要な相談や活動につなぐかを具体化することが重要と考えます。
事業所が確認すること
募集開始後に、参加条件、地域での役割分担、データの利用・提供範囲、費用を確認したいところです。これは編集部の確認提案であり、主催者が公表した参加要件ではありません。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:事務局から直接提供されたニュースリリース(紙面日付2026年10月26日)/主催者の公開発表(2026年10月29日)
発表主体・企画運営事務局:一般社団法人ジャパンデザイン/フレイル・認知症予防 声かけプロジェクト事務局
開催日:2026年10月22日
情報確認・更新日:2026年10月31日
執筆:介護福祉士ニュース編集部
現地取材・登壇者への直接取材:未実施(提供資料・公開発表に基づく)
写真:一般社団法人ジャパンデザイン提供資料より
内容確認方針/誤りのご連絡
