このページでわかること
- 公的統計で見る介護職員の平均給与と全産業平均との差
- 基本給・手当・賞与・処遇改善と手取りの見方
- 資格取得や職場選びで収入を上げる具体的な方法
介護職の給料は、雇用形態、資格、経験年数、夜勤回数、勤務先のサービス種別、地域によって大きく変わります。「平均月収」だけを見ても、自分の給与が高いのか低いのかを正しく判断できないことがあります。
このページでは2026年9月時点で確認できる厚生労働省の公的資料をもとに、介護職員の平均給与、年収・手取りの考え方、給与明細の確認ポイント、収入を上げる選択肢を整理します。
介護職員の平均給与はいくら?
厚生労働省が令和7年賃金構造基本統計調査を基に集計した資料では、介護職員の賞与込み給与は月額31万4,000円、全産業平均(役職者を除く)は月額39万6,000円です。差は月額8万2,000円となっています。
ここでいう「賞与込み給与」は、調査年6月の給与に前年1年間の賞与の12分の1を加えた値です。毎月31万4,000円が振り込まれるという意味ではありません。単純に12倍すると約376万8,000円ですが、これは統計上の月額を年換算した目安であり、個人の実際の年収とは異なります。
| 比較項目 | 月額 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 介護職員 | 31万4,000円 | 令和7年・賞与込み給与 |
| 全産業平均 | 39万6,000円 | 役職者を除く同じ集計 |
| 差額 | 8万2,000円 | 年齢・勤続年数・職種構成も異なる点に注意 |
介護職員の賃金は長期的には上昇していますが、全産業平均との差は残っています。ただし、平均値には無資格者から介護福祉士、若手からベテラン、日勤中心から夜勤ありまで含まれます。自分の給与を比較する際は条件をそろえることが重要です。
月収・年収・手取りの違い
月収は毎月の総支給額
一般に月収は、基本給に資格手当、夜勤手当、処遇改善手当、役職手当、住宅手当、時間外手当などを加えた総支給額を指します。求人票の「月給」には、固定残業代や一定回数の夜勤手当が含まれている場合があるため、内訳を確認してください。
年収には賞与や一時金も含まれる
年収は、12か月分の給与に賞与や一時金を加えた年間の総支給額です。同じ月給でも、賞与の回数・算定基礎・業績連動の有無によって年収は変わります。「賞与2か月分」と書かれていても、基本給を基準に計算するのか、手当を含むのかで金額は異なります。
手取りは税金・社会保険料を引いた金額
手取りは、総支給額から健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税などを差し引いた後の金額です。年齢、扶養家族、前年所得、居住地、加入制度によって変わるため、一律に「額面の何%」とは言い切れません。
転職時は、初年度の住民税や賞与、社会保険料の変化も考慮し、総支給額だけで生活費を計算しないようにしましょう。
介護職の給与を構成する主な項目
- 基本給:賞与、退職金、昇給の基礎になることが多い固定部分
- 資格手当:介護福祉士、実務者研修、介護支援専門員などに対する手当
- 夜勤手当:回数や夜勤時間、配置体制に応じて支給される手当
- 処遇改善手当:事業所の加算取得状況と配分ルールに基づく賃金改善
- 役職・職務手当:リーダー、主任、管理者、サービス提供責任者などの役割への手当
- 時間外・休日・深夜割増:法令や就業規則に基づいて支給される割増賃金
- 住宅・扶養・通勤手当:勤務先の福利厚生として設けられる手当
- 賞与・一時金:法人業績、評価、在籍期間などで変動する年間支給
給料が変わる主な要因
保有資格
介護福祉士は国家資格であり、資格手当や基本給テーブルに反映される職場があります。実務者研修、介護支援専門員、認知症ケア等の研修も役割拡大につながります。ただし、資格を取るだけで自動的に昇給するとは限らないため、賃金規程を確認しましょう。
介護福祉士の取得ルートは、介護福祉士になるための資格・国家試験ガイドで解説しています。
経験年数と役割
勤続年数だけでなく、リーダー業務、後輩育成、委員会活動、事故防止、看取り、認知症ケアなど、職場が評価する役割によって給与が変わります。評価項目が明確な職場では、次の昇給に必要な行動を把握しやすくなります。
夜勤や勤務時間
入所施設では夜勤手当が月収を左右します。ただし、夜勤回数の増加は体調や生活への負担も伴います。求人を比較する際は、1回当たりの手当だけでなく、勤務時間、休憩・仮眠、配置人数、月平均回数、夜勤明けの扱いを確認してください。
施設・サービスの種類
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、訪問介護、デイサービスなどでは、夜勤の有無、必要な資格、収益構造、人員配置が異なります。同じ介護職でも給与体系が違うため、サービス種別をそろえて比較すると実態をつかみやすくなります。
地域と法人規模
最低賃金、家賃、人材需給は地域ごとに異なります。大規模法人は役職・異動・研修制度が整っていることがある一方、小規模事業所でも柔軟な評価や高い手当を設ける例があります。法人規模だけで決めず、賃金表と実際の支給条件を確認しましょう。
処遇改善加算は給料にどう関係する?
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の賃金改善と職場環境整備を進める制度です。加算は事業所に支払われ、事業所内のルールに基づいて基本給、手当、賞与などへ配分されます。
国が示す賃上げ額が、そのまま全職員に同額で支給されるわけではありません。加算区分、サービス種別、常勤・非常勤、資格、経験、役割などにより実際の支給額は変わります。制度の要件と確認方法は、介護職員等処遇改善加算の特集で整理しています。
給与明細で確認したいポイント
- 基本給が雇用契約書・賃金規程と一致しているか
- 資格手当、夜勤手当、処遇改善手当の名称と金額
- 夜勤・残業・休日勤務の回数と計算が合っているか
- 固定残業代がある場合、対象時間と超過分の扱い
- 欠勤控除や遅刻早退控除の計算方法
- 健康保険、厚生年金、雇用保険、税金などの控除
- 処遇改善に関する職場の配分方針が説明されているか
疑問があれば、まず給与明細、雇用契約書、就業規則、賃金規程を照合し、担当者へ具体的に確認します。比較のために給与明細を保存しておくと、昇給や転職前後の変化を把握しやすくなります。
介護職が収入を上げる方法
資格を取得する
介護福祉士、介護支援専門員など、職場の配置・役割に直結する資格は、資格手当や昇格につながる可能性があります。受講費補助、研修日の勤務扱い、合格祝い金なども確認しましょう。
役割と評価基準を確認する
「頑張れば上がる」ではなく、どの役割・成果・能力が昇給条件なのかを上司へ確認します。リーダー、教育担当、サービス提供責任者、管理者など、責任と手当が対応しているかも重要です。
夜勤を増やす前に働き方を比較する
夜勤回数を増やすと短期的に月収は上がりますが、体調悪化や離職につながれば長期的な収入は不安定になります。夜勤手当、基本給、賞与、年間休日、通勤時間を合わせて比較しましょう。
同じ条件の求人と比較する
転職サイトの最高額だけで判断せず、資格、経験、勤務地、夜勤回数、雇用形態をそろえて複数求人を比較します。想定年収の内訳、試用期間、昇給実績、賞与算定、退職金、処遇改善手当を確認してください。
長く働ける職場を選ぶ
基本給が少し高くても、人員不足、休みの取りにくさ、教育不足で早期離職すると収入は安定しません。研修、相談体制、シフト、福利厚生、キャリアパスを含む「待遇全体」で考えることが大切です。
求人票で見落としやすい点
| 表示 | 確認すること |
|---|---|
| 月給○万円〜 | 基本給、固定手当、夜勤何回分、固定残業代の内訳 |
| 年収例 | 年齢・経験・役職・夜勤回数・賞与実績などの前提 |
| 賞与あり | 前年実績、算定基礎、対象者、入職初年度の扱い |
| 処遇改善手当あり | 月額・一時金・賞与への配分、変動の可能性 |
| 昇給あり | 評価時期、過去実績、昇給幅、評価基準 |
よくある質問
介護職の平均年収は約377万円ですか?
令和7年の賞与込み給与31万4,000円を12倍すると約376万8,000円です。ただし、統計上の賞与込み月額を単純に年換算した目安であり、すべての介護職員の実際の年収を示すものではありません。個人の年収は雇用形態、賞与、手当、勤務期間などで変わります。
介護福祉士になると給料は上がりますか?
資格手当や基本給テーブルに反映される職場では上がりますが、一律ではありません。取得前に勤務先の賃金規程、資格手当、配置要件、昇格条件を確認しましょう。
処遇改善加算は給与明細に必ず同じ名前で載りますか?
必ずしも「処遇改善手当」という名称で別項目になるとは限りません。基本給、各種手当、賞与などへ配分されることがあります。事業所からの説明や就業規則・賃金規程を確認してください。
夜勤がないと給料は低くなりますか?
夜勤手当がない分、総支給額は低くなることがあります。ただし、訪問介護の稼働、役割手当、資格、基本給、賞与などにより、日勤中心でも収入を高められる職場はあります。
転職では月給と年収のどちらを見るべきですか?
両方を見ます。生活費に直結する毎月の固定部分に加え、賞与、手当、退職金、年間休日、残業、夜勤回数を含む年間条件を比較してください。
平均額より自分の給与の内訳を見る
介護職の平均給与は、業界全体の傾向を知る目安です。しかし、自分の待遇を改善するには、基本給・手当・賞与・働き方を分けて見る必要があります。
まず給与明細と賃金規程を確認し、資格・役割・評価がどのように賃金へ反映されるかを把握しましょう。そのうえで、資格取得、役割拡大、職場内での相談、求人比較など、自分に合う方法を選ぶことが大切です。