外国人介護人材とは?4制度の違い・受入れ要件・定着支援を解説

このページでわかること

  • 外国人介護人材を受け入れる4制度の違い
  • 施設・事業所が採用前に確認すべき要件と手続き
  • 訪問系サービスへの従事条件と採用後の定着支援

外国人介護人材は、介護現場の人手不足を補うだけの存在ではありません。異なる文化や経験を持つ職員が加わることで、組織の教育体制やコミュニケーションを見直すきっかけにもなります。

外国人が介護分野で働く仕組みには、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4制度があり、目的・在留期間・必要資格・受入れ方法が異なります。ここでは2026年9月時点の公的情報をもとに、制度の違いと受入れ実務を整理します。

外国人介護人材を受け入れる4つの制度

厚生労働省は外国人介護人材の受入れの仕組みとして4制度を案内しています。採用したい人材、任せたい仕事、育成期間、将来のキャリアによって適した制度は変わります。

制度 主な目的 主な対象 特徴
EPA 二国間協定に基づく受入れ 対象国の介護福祉士候補者 就労・研修をしながら国家資格取得を目指す
在留資格「介護」 専門職としての就労 介護福祉士資格を持つ人 更新可能で長期的な就労につながる
技能実習 技能等の移転による国際協力 技能の修得を目的に来日する人 実習計画に沿って就労。育成就労へ移行予定
特定技能1号 人手不足分野での即戦力受入れ 技能・日本語の基準を満たす人 通算5年が原則。受入れ機関の支援が必要

EPA介護福祉士候補者の特徴

EPAは、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定などに基づく受入れ制度です。候補者は介護施設で就労・研修を行いながら、介護福祉士国家試験の合格を目指します。

受入れ調整は公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が担います。施設側には研修責任者の配置、学習時間の確保、日本語や国家試験学習への支援などが求められ、資格取得まで含めた育成計画が重要です。

在留資格「介護」の特徴

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が介護または介護の指導を行うための在留資格です。資格取得の経路にかかわらず要件を満たせば対象になり得ます。

更新回数に一律の上限がなく、一定条件のもとで家族帯同も可能です。EPAや特定技能などで働きながら介護福祉士を取得し、在留資格「介護」へ変更するキャリアも考えられます。

技能実習「介護」の特徴

技能実習は、日本で修得した技能等を母国へ移転する国際協力を目的とする制度です。介護職種では、日本語能力、実習指導、夜勤を含む配置などについて定められた基準を確認する必要があります。

技能実習制度は、2027年4月1日施行予定の育成就労制度へ移行する準備が進められています。受入れ事業者は現行要件だけでなく、移行時期と新制度の運用方針も継続的に確認しましょう。

特定技能1号「介護」の特徴

特定技能1号は、人手不足が深刻な分野で一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度です。介護分野では、原則として介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語試験への合格などが必要です。技能実習2号を良好に修了した場合など、試験が免除される経路もあります。

在留期間は通算5年が原則です。介護分野は特定技能2号の対象ではありませんが、介護福祉士を取得し在留資格「介護」への変更を目指せます。事業者自身または登録支援機関を通じ、生活オリエンテーション、相談対応、日本語学習機会などの支援計画を実行します。

訪問介護など訪問系サービスで働ける条件

2025年4月の制度改正により、一定条件を満たす技能実習生と特定技能外国人は、訪問介護などの訪問系サービスに従事できるようになりました。主な前提は、介護職員初任者研修課程等の修了と、原則1年以上の介護事業所等での実務経験です。

受入れ事業所には、利用者・家族への事前説明、キャリアアップ計画、ハラスメント防止、緊急時に対応できる環境、ICT等を活用した適切な業務支援などが求められます。人手不足を理由に、入職直後から一人で訪問させる運用はできません。

受入れ前に確認したい要件と費用

在留資格と担当業務が一致しているか

候補者の在留資格、在留期限、資格・試験の状況を確認し、予定業務が認められる範囲に含まれるかを確認します。介護業務に付随する範囲を超え、別職種の仕事を中心に担当させることは避けなければなりません。

報酬や労働条件が適切か

外国人であることを理由に、同等の業務を担う日本人より不当に低い賃金を設定することはできません。基本給、手当、夜勤、残業、昇給、控除項目を本人が理解できる方法で説明します。処遇改善制度は、介護職員等処遇改善加算の特集も確認してください。

採用費以外のコストも見込んでいるか

紹介料や渡航費だけでなく、在留手続き、住居準備、支援委託、日本語・資格学習、指導担当者の工数、生活立ち上げなどの費用が発生します。初年度費用だけで比較せず、定着期間と資格取得後の活躍まで含めて判断します。

採用から就業開始までの流れ

  1. 採用目的を明確にする:欠員補充、将来の中核人材、国家資格取得支援など期待する役割を決めます。
  2. 制度を選ぶ:資格、日本語力、希望キャリア、配置予定サービスに合う制度を選びます。
  3. 受入れ要件を整える:雇用条件、支援体制、住居、指導担当者、学習時間を準備します。
  4. 面接と相互確認を行う:仕事内容、給与、生活環境、夜勤、宗教・食文化などを確認します。
  5. 在留手続きを進める:制度に応じた在留資格認定証明書交付申請や資格変更を行います。
  6. 入職後の支援を続ける:定期面談と業務・生活の両面支援を継続します。

外国人介護職員の定着を高めるポイント

「やさしい日本語」と業務の見える化

日本語能力だけを本人の課題にせず、指示を短く具体的にする、写真や動画を使う、申し送りの定型文を用意するなど職場側も伝え方を整えます。曖昧な表現や現場独自の略語は誤解の原因になります。

指導担当者を一人に集中させない

一人の先輩だけが生活相談から技術指導まで抱えると双方が疲弊します。業務指導、資格学習、生活相談の窓口を分け、チームで情報共有できる体制が有効です。

キャリアの道筋を共有する

国家資格取得、在留資格「介護」への変更、リーダーや教育担当への成長など、本人が将来像を描けるようにします。定期面談では困りごとだけでなく、できるようになったことと次の目標も確認します。

生活面と孤立にも目を向ける

住居、銀行口座、携帯電話、行政手続き、交通、医療機関の利用など、来日直後は多くの壁があります。職場外で相談できる人や同郷コミュニティとの接点も、安心して働き続けるうえで重要です。

受入れで起こりやすい失敗

  • 制度を比較せず、紹介会社から勧められた枠組みだけで採用する
  • 日本語試験の合格を現場コミュニケーション力と同じだと考える
  • 外国人職員の教育を特定の職員だけに任せる
  • 給与の控除や夜勤条件を十分に説明しない
  • 人手不足を急いで解消しようとし、既存職員の受入れ準備を行わない

よくある質問

外国人介護職員は夜勤を担当できますか?

制度や本人の習熟度、実習計画、事業所の配置基準などを満たせば担当できます。ただし、入職直後から単独夜勤を任せず、緊急時の連絡体制や記録・申し送りの理解を確認して段階的に任せることが重要です。

特定技能から介護福祉士を目指せますか?

目指せます。実務経験などの受験要件を満たして国家試験に合格・登録し、要件を満たせば在留資格「介護」への変更を検討できます。学習時間の確保と実務者研修の受講支援が重要です。

登録支援機関に任せれば事業所の対応は不要ですか?

いいえ。支援業務を委託しても、日々の業務指導、職場内の人間関係、適切な労務管理は受入れ事業所の役割です。委託先との責任分担を明確にしてください。

外国人介護人材だけで人手不足は解決しますか?

外国人採用は有力な選択肢ですが、それだけで解決するものではありません。賃金・勤務体制・教育・業務効率化を同時に見直す必要があります。全体像は介護現場の人手不足に関する特集で整理しています。

制度選びより先に受入れ目的を決める

外国人介護人材の採用で大切なのは「どの制度なら採れるか」だけで考えないことです。どのような仕事と成長機会を用意し、何年後にどの役割を担ってほしいのかを明確にすると、制度・候補者・支援体制の選択が一貫します。

採用後の定着は本人の努力だけでは実現しません。わかりやすい教育、適切な労務管理、公平な評価、相談しやすい職場づくりは、日本人職員を含む組織全体の働きやすさにもつながります。

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