介護福祉士になるには?資格取得ルート・受験資格・国家試験を解説

このページでわかること

  • 介護福祉士になるための4つの資格取得ルート
  • 実務経験3年・実務者研修などの受験資格
  • 国家試験の申込みから合格後の資格登録まで

介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。取得すると、介護技術や知識を公的に証明でき、現場のリーダー、後輩指導、サービス提供責任者などキャリアの選択肢を広げやすくなります。

介護福祉士になる道は一つではありません。働きながら目指す実務経験ルートのほか、介護福祉士養成施設、福祉系高校、EPA介護福祉士候補者のルートがあります。このページでは2026年9月時点の公的情報をもとに、受験資格、国家試験、合格後の登録までを整理します。

介護福祉士とは

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく名称独占の国家資格です。専門的な知識と技術をもって、身体上・精神上の障害により日常生活に支障がある人へ介護を行い、本人や介護者へ介護に関する指導を行います。

試験に合格しただけでは「介護福祉士」を名乗れません。公益財団法人社会福祉振興・試験センターへ登録申請を行い、介護福祉士登録証の交付を受ける必要があります。

介護福祉士になるための4つのルート

取得ルート 主な対象 主な要件 特徴
実務経験ルート 介護現場で働いている人 実務経験3年以上+実務者研修修了 働きながら目指す人に最も一般的
養成施設ルート 専門学校・大学等で学ぶ人 指定養成施設の課程を修了 体系的に知識・技術・実習を学べる
福祉系高校ルート 福祉系高校等の生徒 所定の教科・単位を修めて卒業 高校段階から専門科目を学ぶ
EPAルート EPA介護福祉士候補者 対象国・在留資格・実務経験等の要件 就労・研修をしながら合格を目指す

働きながら目指す実務経験ルート

介護職として働いている人の多くが利用するルートです。受験には、原則として実務経験3年以上と実務者研修の修了の両方が必要です。

実務経験は期間と従事日数の両方が必要

受験資格となる実務経験は、対象施設・事業と職種での従業期間1,095日以上、かつ実際に介護等の業務へ従事した従事日数540日以上が基本です。1日の勤務時間は問われないため、パート勤務でも要件を満たす可能性があります。

従業期間には産休・育休・病休などの休職期間も含まれますが、従事日数には休暇、欠勤、研修など、実際に介護業務を行っていない日は含まれません。複数事業所での経験は通算できますが、同じ日に複数事業所で働いても従事日数は1日として扱われます。

試験実施年度の3月31日までに要件を満たす見込みであれば、実務経験見込みとして申し込める場合があります。ただし、期日までに証明書を提出できなければ試験が無効になるため、勤務先へ早めに確認しましょう。

実務経験の対象になる仕事を確認する

介護施設や訪問介護事業所で働いていても、すべての職種・業務が対象になるとは限りません。主たる業務が介護等であることが必要で、相談援助業務、事務、調理、運転などを中心とする職種は対象外となる場合があります。

勤務先の名称だけで判断せず、社会福祉振興・試験センターの「実務経験の範囲」で施設・事業と職種を確認してください。

実務者研修は計画的に修了する

実務者研修は、介護過程、医療的ケア、認知症、障害理解などを体系的に学ぶ研修です。保有資格によって受講科目や時間が異なり、無資格の場合は原則450時間です。通信学習を中心に受講できる講座でも、介護過程や医療的ケアには通学が必要です。

申込みが集中する時期や修了証明書の発行日を考え、国家試験の申込時期から逆算して受講を始めましょう。勤務先や自治体によっては受講費用の補助、貸付、勤務扱いなどの支援があります。

介護福祉士養成施設から目指すルート

指定された専門学校、短期大学、大学などで、介護の知識・技術と実習を体系的に学ぶルートです。原則2年以上の課程ですが、他の福祉系資格や履修歴によって期間が異なる場合があります。

養成施設卒業者に関する国家試験と資格登録には経過措置があります。入学年度や卒業年度により扱いが異なるため、学校の説明と厚生労働省・試験センターの最新情報を必ず確認してください。

福祉系高校から目指すルート

福祉系高校などで所定の教科・単位を修めて卒業し、国家試験を受験するルートです。入学年度や課程によっては、筆記試験に加えて実技試験または介護技術講習が関係することがあります。

自分の学校・課程がどの区分に当たるかは、学校が発行する卒業証明書や履修証明書だけで判断せず、受験の手引きで確認しましょう。

EPA介護福祉士候補者のルート

EPA(経済連携協定)に基づいて来日した介護福祉士候補者が、受入れ施設で就労・研修しながら国家試験合格を目指すルートです。対象国、在留期間、実務経験、日本語学習などの要件があります。

外国人介護人材の制度全体は、外国人介護人材の4制度・受入れ要件ガイドで比較しています。

介護福祉士国家試験の概要

試験は原則年1回

国家試験は例年、受験申込みが夏頃、筆記試験が翌年1月頃、合格発表が3月頃に行われます。年度により日程・試験地・手続きが変わるため、必ずその年度の「受験の手引き」で確認してください。

幅広い科目から出題される

人間の尊厳と自立、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、こころとからだのしくみ、認知症、障害、医療的ケア、社会の理解など、現場実践と制度の両面から出題されます。

合格には総得点の基準だけでなく、定められた科目群すべてで得点することが必要です。苦手科目を捨てる勉強法ではなく、全科目を一度は学び、過去問で横断的に確認することが重要です。

パート合格制度が導入された

第38回試験から、A・B・Cの各パートについて一定の基準を満たした場合、全体合格に至らなくてもパート別合格となる仕組みが導入されました。合格したパートは翌年・翌々年まで有効で、再受験時に不合格パートのみ受験するか、全パートを受験するかを選べます。

ただし、最初から一部パートだけを受験できる制度ではありません。免除の対象、期限、申込み方法は、その年度の案内を確認してください。

受験申込みで準備する書類

  • 受験申込書と受験手数料の支払い関係書類
  • 実務経験証明書・実務経験見込証明書
  • 従事日数内訳証明書(必要な場合)
  • 実務者研修修了証明書・修了見込証明書
  • 卒業証明書や履修証明書など、ルート別の証明書

勤務先の証明書は発行に時間がかかることがあります。転職や法人統合、事業所廃止があると確認先が分かりにくくなるため、過去の勤務先を含めて早めに依頼しましょう。

合格後は資格登録が必要

国家試験の合格証書を受け取っただけでは、介護福祉士として登録されたことにはなりません。登録申請書、登録免許税、登録手数料、本人確認に必要な書類などを試験センターへ提出します。

2026年9月時点では、介護福祉士の新規登録に登録免許税9,000円と登録手数料3,320円が案内されています。金額や必要書類は変更される可能性があるため、申請時の案内を確認してください。

介護福祉士を取得するメリット

専門性を公的に証明できる

経験だけでは伝えにくい知識と技術を国家資格として示せます。転職や配置変更の際にも、全国で共通する資格として評価されます。

資格手当や役割の選択肢が広がる

資格手当、昇給、リーダー、教育担当、サービス提供責任者などにつながることがあります。ただし給与や配置条件は勤務先ごとに異なるため、就業規則や求人票を確認してください。

学び直しが日々のケアに役立つ

受験勉強を通じて、認知症、障害、医療的ケア、制度、倫理を整理できます。「経験的には分かる」を言語化し、根拠をもって後輩や家族へ説明する力につながります。

外国人介護職員の長期就労につながる

外国人職員は、介護福祉士を取得して要件を満たすことで、在留資格「介護」への変更を検討できます。資格取得支援は本人のキャリアだけでなく、事業所の定着施策としても重要です。

働きながら合格を目指す学習方法

  1. 受験資格を先に確認する:実務経験日数と実務者研修の修了時期を確認します。
  2. 過去問で現在地を知る:最初から完璧を目指さず、分野ごとの正答率を把握します。
  3. 間違えた理由を分類する:知識不足、読み違い、制度の混同に分けて復習します。
  4. 短時間を繰り返す:通勤前後や休憩時間に10〜20問ずつ解き、学習を習慣化します。
  5. 全科目を確認する:無得点科目群を作らないよう、苦手分野も最低限押さえます。
  6. 直前期は本番形式で解く:時間配分と見直し手順を決めます。

よくある質問

無資格・未経験からでも介護福祉士になれますか?

なれます。介護職として働き、対象となる実務経験を積みながら実務者研修を修了し、国家試験に合格する方法があります。養成施設へ進学する方法もあります。

初任者研修を持っていれば実務者研修は不要ですか?

実務経験ルートでは、初任者研修を修了していても実務者研修の修了が必要です。ただし、初任者研修などの保有資格により、実務者研修の一部科目が免除され、受講時間や費用が変わる場合があります。

実務経験3年なら自動的に受験できますか?

いいえ。従業期間と従事日数の両方を満たし、対象となる業務であること、実務者研修を修了していることなどの確認が必要です。

国家試験に合格すればすぐ介護福祉士を名乗れますか?

名乗れません。合格後に登録申請を行い、介護福祉士登録簿へ登録される必要があります。

資格を取れば必ず給与が上がりますか?

資格手当や昇給がある職場は多いものの、一律ではありません。勤務先の賃金規程や処遇改善の配分ルールを確認しましょう。介護職の賃金改善制度は、介護職員等処遇改善加算の特集で解説しています。

最初に受験資格と期限を確認する

介護福祉士を目指すと決めたら、教材を買う前に、取得ルート、実務経験、研修修了時期、証明書の発行先を確認しましょう。特に実務経験ルートでは「3年働いたつもり」でも従事日数が不足することがあります。

資格取得はゴールではなく、学んだ知識をケアとチーム支援に活かすための出発点です。自分の経験を整理し、利用者の尊厳を守る根拠ある介護へつなげましょう。

タイトルとURLをコピーしました