ナースコール市場が急成長する背景とは?
なぜ、これほどナースコール市場の成長が期待されているのでしょうか。主な理由は次の3つです。
- 高齢化の進行: 日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。2023年には総人口の約29.1%が65歳以上。2040年には36%まで上昇すると見られています。高齢者の方が増えれば、介護施設や在宅での見守り、緊急時の対応が必要な場面も増えるため、ナースコールシステムの需要も高まるのは自然な流れですね。
- 利用者さんの安全への意識向上: 転倒や徘徊など、高齢者の方には様々なリスクがあります。ナースコールシステムが進化することで、これらのリスクを早期に発見し、迅速に対応できるようになります。
- 医療・介護施設のデジタル化: 介護現場でもIT化が進み、IoT(モノのインターネット)や無線通信技術の導入が広がっています。これにより、ナースコールもより高度なシステムへと進化しやすくなっています。
特に、介護保険制度のもとで高齢者ケアの質を高める取り組みが進められていることも、新しいナースコールシステムの導入を後押ししていると言えるでしょう。
「呼び鈴」から「ケアの司令塔」へ!ナースコールの進化ポイント
これからのナースコールシステムは、単なる「呼び鈴」の役割を超え、介護現場の「ケアの司令塔」のような存在になっていきます。具体的にどんな進化が期待されているのか見ていきましょう。
(1) スマホ連携でどこでも対応可能に
従来のナースコールは、ナースステーションにいるスタッフが対応するのが一般的でした。しかし、これからのシステムは、スマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末に直接通知が届くようになります。
これにより、スタッフはナースステーションにいなくても、利用者さんからの呼び出しをリアルタイムで把握し、その場で優先順位を判断して対応できるようになるでしょう。移動時間の削減にもつながり、限られた時間の中でより多くの利用者さんを安全にケアすることに役立ちます。
(2) 転倒・徘徊防止、見守り機能が充実
高齢者の方にとって、転倒は大きなリスクです。新しいナースコールシステムは、ベッドサイドのボタンだけでなく、転倒検知センサーや離床検知センサー、緊急アラートなどを組み込むことで、事故が起きる前に異常を自動でスタッフに通知できるようになります。
また、認知症の方の徘徊管理も重要な機能です。位置情報センサーやドアセンサーと連携し、危険区域への立ち入りや施設外への外出を検知して知らせることで、利用者さんの安全を守る体制が強化されます。在宅ケアの現場でも、緊急ボタンやウェアラブル端末を使って、家族や訪問介護スタッフに連絡できるシステムが、独居高齢者の方の安心につながるでしょう。
(3) 有線と無線のいいとこどり「ハイブリッド型」も
ナースコールの接続方式には、大きく分けて「有線」と「無線」があります。
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無線型:配線工事が少なくて済むため、既存の施設にも比較的簡単に導入できます。レイアウト変更にも柔軟に対応できるのがメリットです。
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有線型:通信が安定しているため、高い信頼性が求められる病院などで引き続き活用されるでしょう。
今後は、それぞれの良いところを組み合わせた「ハイブリッド型」の運用も増えていくと考えられます。
(4) 電子カルテや設備と連携する「統合型」が主流に
最も注目されているのが、統合型コミュニケーションシステムです。これは、ナースコールだけでなく、EHR(電子カルテ)や患者モニタリングシステム、スタッフのモバイル端末、さらには照明や空調といった施設設備までを一つのシステムで連携させるものです。
例えば、利用者さんからの呼び出しがあった際に、「何号室から呼ばれたか」だけでなく、利用者さんの氏名、病歴、バイタルデータ、緊急度などが同時にスタッフの端末に表示されるようになるでしょう。これにより、状況を素早く把握し、適切な対応を迅速に行うことができます。
また、呼び出しの内容やスタッフの応答時間などをデータとして記録・分析することで、病棟ごとの業務負荷や人員配置の見直しにも役立てられます。将来的には、AI(人工知能)が呼び出しパターンを分析し、転倒リスクや急変の兆候を予測するようなシステムも登場するかもしれませんね。
新しいナースコール導入の「壁」と、私たちに求められること
良いことばかりのように見えるナースコールの進化ですが、導入にはいくつかの課題もあります。
(1) 複雑なシステムと維持管理コスト
最新のナースコールシステムは、様々な機器と連携するため、導入設計が複雑になりがちです。初期の導入費用だけでなく、定期的な保守、ソフトウェアの更新、端末の交換、バッテリー管理など、長期的な維持管理コストもかかります。特に予算が限られている中小規模の介護施設にとっては、大きな課題となる可能性があります。
(2) スタッフの「慣れ」と「教育」がカギ
機能が増えれば増えるほど、スタッフが新しい操作方法を習得する必要があります。特にIT機器に不慣れなスタッフが多い現場では、システムを導入しても十分に活用されないリスクも考えられます。
だからこそ、メーカーには、高機能なだけでなく、現場のスタッフが直感的に使えるような「分かりやすい操作性」が求められます。私たち自身も、新しい技術を学ぶ意欲を持つことが大切ですね。
(3) サイバーセキュリティも重要に
システムがクラウド化されたり、患者情報と連携したりするほど、サイバーセキュリティの対策も重要になります。不正アクセスやシステム障害が起きないよう、通信の暗号化やアクセス認証、バックアップなどの対策が不可欠です。
介護現場の未来へ:テクノロジーは「人のケア」を支える存在
日本のナースコールシステム市場は、高齢化の進展と介護人材不足という大きな課題を背景に、これからも進化を続けていくでしょう。
ナースコールは、単に「利用者さんがスタッフを呼ぶ道具」ではなく、「利用者さんの状態、施設環境、スタッフの配置をリアルタイムでつなぎ、ケアの質を高める基盤」へと変わっていきます。
テクノロジーは、人間によるケアを置き換えるものではありません。むしろ、単純な見守りや連絡業務を効率化することで、介護スタッフが利用者さんとの対話や個別ケアにより多くの時間を使えるように、私たちを支えてくれる存在となるはずです。
この変化を理解し、新しい技術を積極的に活用していくことが、これからの介護現場で働く私たちにとって、より良いケアを提供し、自身のキャリアを豊かにするための一歩となるでしょう。
関連情報
本記事は、株式会社マーケットリサーチセンターが発表した「日本のナースコールシステム市場2025~2033年、英文タイトル:Japan Nurse Call Systems Market Research 2025-2033」調査資料に基づいています。
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