この記事のまとめ
3行でわかる要点
- 厚労省は2026年11月6日、介護の運営基準にカスハラ対策を位置づける案を示しました。
- サービス提供拒否の「正当な理由」と、提供開始後に継続が難しくなった場合の対応を明確にする方向です。
- 今回の案は検討段階。2026年10月1日に始まった事業主の防止措置義務とは別です。
介護現場への影響:現場職員に判断を任せず、事業所が安全確保と利用者の支援継続を並行して検討することが論点です。
確認・行動すること:事業所の相談先、危険時の連絡経路、記録方法を点検し、制度の確定内容は今後の通知で確認してください。
厚生労働省は2026年11月6日の第274回社会保障審議会介護給付費分科会で、2027年度介護報酬改定に向け、介護現場のカスタマーハラスメント対策案を示しました。焦点は、職員を危険から守りながら、利用者に必要な介護をどうつなぐかです。提供拒否の「正当な理由」を明確にする方向が示されましたが、今回の資料によって新たな基準が適用されたわけではありません。
10月に始まった義務と、11月に示された案の違い
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、事業主にはカスハラ防止措置が義務づけられています。相談体制や、事案が起きた場合の対応を整える雇用管理上の義務です。11月の分科会では、これを踏まえ、介護サービスの運営基準にもカスハラへの対応を位置づけ、解釈通知などで具体化する案が示されました。介護事業所は、すでに適用されている義務への対応と、今後確定する介護の運営基準への対応を分けて管理できます。
提供を始める前と、始めた後では検討が異なる
分科会の資料5(33〜34ページ)では、提供拒否の禁止における「正当な理由」の考え方と、提供開始後に継続が困難になったときに、事案に応じて段階的に対応を検討することの明確化が提案されています。具体的な判断や対応は、今後の調査研究やマニュアルへの反映も想定されています。カスハラの申し出があれば、事業所が一律にサービスを断ったり契約を打ち切ったりできる、という内容ではありません。
訪問介護・訪問看護の複数名訪問に係る加算については、利用者負担が増える点を踏まえ、本人または家族等の同意を算定要件として維持する案です。居宅介護支援では新たな加算を設ける方向ではなく、モニタリングで居宅への訪問を要しない「特段の事情」の取り扱いなどを運営基準上で検討する案が示されました。
認知症などが背景にあるときも、安全とケアを並行して考える
資料は、認知症などの疾病や障害の特性、環境が言動に影響している場合、その背景を踏まえて対応する必要があると整理しています。例えば、入浴介助で突然腕を振り払われたとき、職員が危険を感じた場面の記録と、本人がどの声かけや介助に反応したかの確認は、別々に残せます。職員が安全を確保したうえで、管理者や関係職種が記録をもとにケアの方法や環境を見直すという考え方です。サービスへの正当な苦情を一括してカスハラとして扱わないことも、厚労省の指針に沿った対応の前提です。
介護福祉士ニュースの考察
編集部の見解:緊急時にその場で職員を守る判断と、翌日以降も支援を続けられるかの判断を分けておくと、現場が迷いにくくなります。
事業所が確認するチェックリスト:① 危険時の連絡先と、管理者不在時の代行者を決める。② 言動、直前の状況、影響、実施した対応を事実と評価に分けて記録する。③ 継続が難しいときに備え、ケアマネジャーや保険者などに相談する担当者と、必要な支援をつなぐ手順を確認する。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:厚生労働省・第274回介護給付費分科会資料一覧、資料5「介護現場におけるハラスメント対策」、厚生労働省・職場のハラスメント防止措置と指針
発表主体:厚生労働省(社会保障審議会介護給付費分科会)
情報確認日:2026年11月8日
執筆:介護福祉士ニュース編集部(公開資料をもとに作成)
内容確認方針:運営者情報・編集方針
誤りのご連絡:info@17kaigo.jp

