この記事のまとめ
- 厚生労働省の現行Q&Aは、短時間労働者の月額8.8万円の賃金要件が2026年10月に撤廃されたと案内している。
- 介護事業所の担当者518人への事前調査では、71.8%が人材確保・運営に影響があると予想した。
- この割合は予測であり、実際に人手不足が悪化したことを示すデータではない。
対象事業所のパート職員について、週の所定労働時間や雇用見込みを確認し、加入対象と本人・事業主の保険料負担を説明する実務が重要になる。
勤務先の企業規模と労働契約を照合し、厚生労働省・日本年金機構の最新案内で加入要件と届出を確認する。手取りと将来の保障は本人ごとに試算する。
賃金要件の撤廃と調査結果を分けて読む
短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の加入要件の一つだった「所定内賃金が月額8.8万円以上」(年収換算で約106万円)について、厚生労働省の現行Q&Aは2026年10月に撤廃されたと案内している。9月に発表されたレバウェル株式会社の調査は、施行前に介護事業所・施設の担当者の予想を尋ねたものだ。制度の確定した内容と、現場の見通しは別の情報として扱いたい。
調査は2026年7月10~13日のインターネット調査で、全国の介護サービス事業所・施設でシフト管理、人員配置、採用などに携わる518人が回答した。「大きな影響があると思う」27.2%と「やや影響があると思う」44.6%の合計は71.8%。回答者の予測であり、介護施設全体の実際の離職・勤務時間の変化を測った結果ではない。


誰が加入対象となる?
賃金要件の撤廃は、すべてのパート職員が一律に社会保険へ加入することを意味しない。2026年10月時点、短時間労働者への適用拡大の対象となるのは原則として従業員数51人以上の企業等で、週の所定労働時間が20時間以上、学生ではなく、2か月を超える雇用の見込みがあることなどを確認する。フルタイムの通常の加入要件に該当する人は別に判断する。
企業規模要件は2027年10月に36~50人、2029年10月に21~35人、2032年10月に11~20人、2035年10月に10人以下へ段階的に広がる。規模の判定や任意適用、学生の例外などは個別事情で変わるため、給与担当者は厚生労働省と日本年金機構の案内を確かめたい。「106万円」の賃金要件と、扶養に関わる「130万円」の基準を同じものとして説明しないことも大切だ。
調査で心配されたことは?
「影響がある」と回答した担当者への複数回答では、働き控えによる人手不足の悪化54.6%、施設側の社会保険料負担増50.5%、加入を避けるための離職44.6%が挙がった。54.6%の母集団は調査対象518人全員ではなく、影響ありと答えた人である。いずれも施行前の懸念で、事後の発生率ではない。

介護事業所と職員は何を確認する?
管理者・労務担当者は、対象となり得る職員の契約上の週所定労働時間、雇用期間、企業規模を確認し、加入見込みと手取り・事業主負担を個別に試算する。シフトを一律に短くする前に、本人の希望、加入による厚生年金や傷病手当金等の保障、勤務の継続可能性を話し合いたい。所定週20時間未満でも、実労働時間が2か月続けて20時間以上で、その後も続く見込みなら3か月目から対象となる場合がある。
職員本人は、保険料の負担だけで判断せず、給与明細、契約、配偶者等の扶養状況を確認する。厚生労働省は手取りや事業主負担の試算手段も案内している。申請や資格取得の届出は給与・労務担当者が最新の日本年金機構の手続案内で確認する。
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介護福祉士ニュースの考察
変更されたのは短時間労働者の月額8.8万円という賃金要件。週20時間、学生の扱い、雇用見込み、企業規模の確認は残る。「年収が106万円未満だから対象外」という以前の説明を職員向け資料に残さないようにしたい。
- 適用判定に用いる企業規模と各職員の契約・実労働時間
- 本人への加入見込み、手取りと保障の説明
- 社会保険料の事業主負担、届出と給与設定
- 勤務時間変更の希望と施行後の実際の変化
※調査での「懸念」と施行後の実績は区別して評価してください。本欄は編集部の実務上の整理です。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:厚生労働省・適用拡大Q&A、厚生労働省・2026年10月の制度変更、レバウェル株式会社の調査発表
発表主体:厚生労働省、レバウェル株式会社(調査主体。配信はレバレジーズ株式会社)
情報確認日:2026年10月12日
執筆:介護福祉士ニュース編集部
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