この記事のまとめ
- 山梨県は2026年9月1日、県民向け相談と県内企業向け支援を「ケアラーコンシェルジュサービス」として開始した。
- 同日、山梨中央銀行など民間4社も、県の仕組みと連携する企業向けサービスの提供を発表した。
- 県民向け相談は無料だが、紹介先の支援利用は別途契約・費用が必要。企業向け支援は有料。
家族を介護する職員が相談先を見つけやすくなる可能性がある。事業所は職員への制度周知、個別の意向確認、相談経路を整える際に、県の窓口や企業向け支援を区別して検討できる。
山梨県の公式案内で対象・料金・相談方法を確認する。雇用主は厚生労働省の2025年施行の義務事項と自社の周知・相談体制を照合する。
山梨県と民間4社の発表は何が違う?
山梨県は2026年9月1日、一般社団法人山梨県介護支援専門員協会を実施主体とする「山梨県ケアラーコンシェルジュサービス」を開始した。県の案内では、県民向け伴走支援と県内企業・団体向け両立支援の二本立てで、仕事と介護の両立に関する研修を受けたワークサポートケアマネジャーが対応する。
同日、ウェルフェア株式会社、株式会社山梨中央銀行、株式会社グッドウェイ、メディトリーナ株式会社の4社は、県のサービスと連携する企業向け「仕事と介護の両立支援サービス」を正式提供すると発表した。4社のサービスは民間側の共同開発・提供であり、県の窓口と同一の契約や料金だと捉えないことが大切だ。導入を検討する企業は、問い合わせ先、委託範囲、費用、利用者の個人情報の扱いを個別に確認したい。
県民と企業、それぞれ何を利用できる?
県民向けの伴走支援は、介護が突然始まったときなどの困りごとを電話で受け、状況に応じて家事支援や見守りなどの支援サービス、関係機関につなぐ。県によると電話相談は24時間365日受け付け、相談料は無料(通話料は利用者負担)。紹介先のサービスを使う場合は、提供事業者との契約や利用料が別途必要で、コンシェルジュが直接支援や契約代行をするわけではない。
県内企業・団体向けは有料で、社内実態調査、管理職・従業員向けセミナー、eラーニング、社員向け相談窓口などが示されている。4社の発表も、実態把握から制度整備、人材育成までの支援を掲げる。具体的な契約内容や料金は公式窓口への確認が必要だ。

介護事業所は既存の制度とどう組み合わせる?
2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法では、事業主に介護休業・両立支援制度を利用しやすい雇用環境整備、介護に直面した労働者への個別周知と意向確認、40歳等の早い段階での情報提供が義務付けられた。外部サービスの導入だけで法定の対応を満たしたと判断せず、自社の制度、申出先、周知方法を点検する必要がある。
たとえば職員から親の入院で急な休みの相談を受けた場合、人事担当者は介護休業や介護休暇等の選択肢を案内し、職場内で共有する情報の範囲を本人と確認する。本人が山梨県の対象であれば、県民向け窓口も案内できる。事業所が有料の企業向け支援を利用するかは、既存の相談窓口と重なる業務、費用、相談後の連携方法を見て決めたい。
4社は実証実験を重ねたと説明するが、介護離職率や生産性の改善が一般に実証されたとは読み取れない。導入の効果は、相談の利用状況、制度の認知、離職理由などを自社で継続して確かめるのが妥当だ。
介護福祉士ニュースの考察
県民向けの緊急相談と、企業の制度整備を支える有料サービスは役割が異なる。介護職自身も家族のケアを担い得るため、職場には「相談したら勤務評価に響く」という不安を減らす運用が重要だと考える。サービスの導入効果は発表主体の目的と区別して見たい。
- 介護の申出先、周知・意向確認の担当者と記録方法
- 本人の同意なく家族の病状や相談内容を現場へ広めない運用
- 外部窓口の対象地域、契約・料金、相談後の連携範囲
- 導入前後の制度認知・相談利用・離職理由の把握方法
※本欄は一次情報と法制度を踏まえた編集部の実務上の整理です。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:山梨県の公式案内、4社の発表(ウェルフェア株式会社)、厚生労働省の法改正案内
発表主体:山梨県、一般社団法人山梨県介護支援専門員協会、ウェルフェア株式会社、株式会社山梨中央銀行、株式会社グッドウェイ、メディトリーナ株式会社
情報確認日:2026年10月12日
執筆:介護福祉士ニュース編集部
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