この記事のまとめ
3行でわかる要点
- 福祉用具貸与は用具を借り、特定福祉用具販売は対象用具を購入する介護保険サービスです。
- 2024年4月から固定用スロープなど一部の用具で貸与・販売の選択制が始まりました。
- 商品名や価格だけで決めず、身体状況、住環境、利用期間、保守を合わせて検討します。
介護現場への影響:用具の適合と給付の条件を別々に確認すると、使えない購入や申請漏れを防ぎやすくなります。
確認・行動すること:購入・契約前にケアマネジャーと福祉用具専門相談員へ相談し、自治体の手続きを確認します。
福祉用具貸与・特定福祉用具販売は、居宅での生活を支える用具について、介護保険で借りる、または購入する仕組みです。「介護向け商品ならすべて対象」「同じ種類なら自由に貸与と購入を選べる」とは限りません。必要性、対象種目、製品の条件、事業者の指定、本人の要介護状態等を確認します。
福祉用具貸与の13種目と要支援の対象
貸与の種目は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置です。制度上の種目名であり、市販品すべてが給付対象になるという意味ではありません。
厚生労働省の案内では、要支援・要介護1は手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ以外が原則対象外で、状態等による例外があります。自動排泄処理装置にはさらに対象条件があるため、軽度者だから一律不可・全品目利用可とせず、ケアマネジャーや自治体へ確認します。
福祉用具貸与の料金は何を比べる?
月額の貸与価格と本人の自己負担額を分け、付属品、利用開始・終了月の扱い、交換や保守を含む条件を見積もりで確認します。商品ごとの貸与価格上限は公表資料で適用期間も確かめます。
貸与と販売を選べる対象種目では、使う期間だけでなく、状態変化時の交換、保守、使わなくなった時の扱いを比較します。商品名だけで給付や価格を判断せず、生活場面での適合を試します。
貸与・販売・住宅改修の違い
| 区分 | 代表例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 福祉用具貸与 | 車いす、特殊寝台、歩行器、移動用リフト本体など | 対象条件、月額、調整・交換・保守 |
| 特定福祉用具販売 | 腰掛便座、入浴補助用具、リフトのつり具部分など | 指定事業者、購入前の相談、支給申請 |
| 住宅改修 | 手すりの取付け、段差解消など | 工事の内容、理由書、着工前後の自治体申請 |
これは代表例で、給付の可否を保証する一覧ではありません。移動用リフトでも本体とつり具は区分が異なります。手すりも置き型の用具と取付工事を同じ扱いにはできません。販売は衛生面や再利用の難しさ等を考慮した種目に加え、選択制の対象があります。
貸与と販売の選択制の対象は?
厚生労働省は2024年4月1日から、固定用スロープ、歩行器(歩行車は除く)、単点杖(松葉づえは除く)、多点杖を選択制の対象としています。車輪付きの歩行車も含め、すべての歩行器を購入給付の対象と考えるのは誤りです。製品の分類を福祉用具専門相談員に確認してください。
選ぶ際は、身体状況や医師・専門職の意見、今後の使用見込み、貸与と販売それぞれの利点・注意点を説明してもらいます。短期利用や状態変化が見込まれるなら交換のしやすさが重要になります。長く使う見込みでも、購入後の調整・修理・使わなくなった場合の取扱いを確認し、価格だけで決めないことが必要です。
対象になる人と費用をどう確認する?
要介護認定があればすべての種目を借りられるわけではありません。例えば車いすや特殊寝台等は、要支援・要介護1では原則として貸与給付の対象外ですが、状態等による例外があります。自動排泄処理装置にはさらに区分による制限があります。自己判断で諦めたり、先に自費契約したりせず、保険者を含めて条件を確認します。
貸与は月額だけでなく、自己負担割合、ほかのサービスとの利用限度額の関係、搬入・回収や追加費用を確かめます。購入は販売価格全額がそのまま給付されるものではなく、対象種目、支給限度、指定事業者、申請と支払い方法の条件があります。購入前に自治体と事業者へ照会すると、対象外の商品や手続漏れを避けやすくなります。
生活場面で試してから決める
架空の例として、退院後に歩行器を検討する人が、訓練室では使えても自宅のトイレ前で方向転換できない場合があります。廊下幅、段差、床材、握る力、疲れ方を確認し、専門職と用具を調整します。「何メートル歩けるか」に加え、「夜間に安全にトイレへ行けるか」といった生活上の目的を決めて試すことが大切です。
- 本人の体格・姿勢・操作と、家族や職員の介助方法
- 出入口や曲がり角、保管場所、充電や清掃の条件
- 調整・点検の担当、故障時の連絡と代替用具
- 利用開始後の確認日と、状態変化を相談する窓口
機器の情報登録や展示会への出展は、すべての利用者への給付や安全性を保証するものではありません。適合判断と制度確認を分け、使用方法を本人・家族・支援者で共有します。安全な移乗の検討には移乗介助の解説、生活目標の整理にはICFの解説も参照してください。
製品ニュースを制度と結び付けて読む
このページ下の関連ニュースでは、車いす、歩行器、介護ベッド、リフト等の比較記事へ進めます。製品の新機能と、国内で使う条件、介護保険の適用、試用と保守を別々に確認しましょう。制度の変更は発表日と適用日を区別し、利用時点の自治体・事業者の案内を優先します。
介護福祉士ニュースの考察
編集部の見解:安い用具が必ず生活を支えるとは限りません。本人が扱え、生活の動線で使い続けられ、困った時に調整できるかまで含めて比較することが大切です。
事業所が確認するチェックリスト:生活目標/対象種目と認定区分/選択制の説明/費用と申請/試用と適合/購入後・貸与中の点検と連絡先。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:厚生労働省:福祉用具・住宅改修(給付対象種目・選択制・専門相談員)。資料公表主体:厚生労働省。情報確認日:2026年10月16日。執筆:介護福祉士ニュース編集部。事例とチェックリストは編集部による整理です。内容確認方針/誤りのご連絡。