認知症介護と仕事の両立、見守りの空白が課題に ケアマネジャー90人調査

認知症介護と仕事の両立で家族が困る場面についてのケアマネジャーの回答グラフ 人材・働き方

この記事のまとめ

3行でわかる要点
  • 現役ケアマネジャー90人への調査で、47人(52.2%)が担当した認知症利用者の家族の介護離職を経験していました。
  • 仕事との両立で困る場面として、67人(74.4%)が「本人が一人でいる時間帯の安全確認」を挙げました。
  • 調査は家族全体の離職率を示すものではなく、見守りと勤務調整を個別に考えるための手がかりです。
介護現場への影響

ケアマネジャーや通所・訪問事業所は、サービスのない時間帯と急な対応の担い手を家族と共有することが大切です。働く家族には勤務先の制度確認も必要で、利用者本人の意向と安全の両立を考えます。

確認・行動すること

家族の勤務時間と本人が一人になる時間を可視化し、担当ケアマネジャーにサービスの組み合わせを相談してください。家族は勤務先に介護休業・介護休暇や勤務調整を確認し、地域包括支援センターも相談先にできます。

ケアマネジャー90人調査で見えた「見守りの空白」

株式会社IRODORIと一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会は2026年9月18日、現役ケアマネジャーを対象とした「認知症介護と仕事の両立」調査を公表しました。オンラインで8月18~31日に実施し、有効回答は90人です。認知症のある人を介護する家族が働き続けるうえで、サービスの時間外や急な変化への対応が課題として挙がりました。

担当した認知症利用者の家族が介護を理由に仕事を辞めたケースが「あった」と答えたケアマネジャーは47人(52.2%)。これは回答したケアマネジャーの経験割合です。認知症の家族介護者の半数が離職した、という意味ではありません。

認知症利用者の家族が介護を理由に仕事を辞めたケースを担当したケアマネジャーの回答グラフ
ケアマネジャーの担当経験に関する調査結果。画像:株式会社IRODORI提供(発表元)

家族が困る時間帯はどこか

仕事との両立で家族が特に困っている場面を尋ねる複数回答の設問では、「本人が一人でいる時間帯の安全確認ができない」が67人(74.4%)で最多でした。急な症状の変化により仕事を中断せざるを得ないという回答は57人(63.3%)、デイサービスの時間外に目が離せないという回答は45人(50.0%)でした。いずれも家族自身への直接調査ではなく、ケアマネジャーが担当経験から答えた結果です。

直近1年に家族から「仕事を辞めようと思っている」との相談を受けたケアマネジャーは42人(46.7%)。退職が決まるまで待つのではなく、勤務上の困りごとを早い段階で確認することが現場の相談につながります。

ケアプランと勤務先で、別々に確認したいこと

介護側では、本人が一人になる曜日・時刻、通所サービスの前後、夜間や休日、通院の日を具体的に書き出すと相談しやすくなります。そのうえで担当ケアマネジャーと、利用できるサービス、緊急時の連絡順、家族に無理が集中している時間帯を確認します。サービスの利用可否や費用は本人の状態、地域、契約内容などで異なります。

勤務先側の介護休業・介護休暇、勤務時間の調整などは、家族本人が人事担当や相談窓口で確認する事項です。厚生労働省は、介護に直面したことを職場に伝えて制度の説明を受けること、介護サービスについては地域包括支援センターや市区町村に相談することを勧めています。介護休業は、介護を一人で担う期間ではなく、両立の体制を整える準備にも使えます。

調査では、勤務先企業の人事部門や産業ケアマネとの連携が有効と答えたケアマネジャーは57人(63.3%)でした。ただし、家族の勤務先へ本人の診断や生活情報を共有する際には、家族と本人の意向、必要な情報の範囲を確認する必要があります。

介護福祉士ニュースの考察

編集部の見解

今回の数字から直ちに「特定のサービスを増やせば離職を防げる」とは言えません。一方、困りごとを「家族の負担」という一語でまとめず、本人が一人になる時間、勤務中に呼び出される場面、通所前後の時間に分ければ、介護事業所と勤務先がそれぞれ検討すべき対応が見えます。

現場で起こり得る具体例

平日の通所が終わってから家族の退勤までの1時間が空く場合、通所日数だけを増やしても、その時間帯の不安は残るかもしれません。本人の意向と安全を確かめながら、地域で利用できる支援と家族の勤務調整を合わせて検討することが考えられます。

事業所が確認するチェックリスト
  • 本人が一人になる時刻と急な変化が起きたときの連絡順を把握しているか
  • 家族の勤務予定を聞く際、必要な情報に絞り、共有先を確認しているか
  • 通所・訪問・短期入所など地域の選択肢を、利用条件と費用を含めて確認したか
  • 家族が勤務先の相談窓口や両立支援制度を確認できるよう、役割を分けて伝えたか

※本欄は調査結果と公的案内をもとに編集部が実務上の確認点を整理したものです。個別の利用可否は担当窓口にご確認ください。

記事情報・確認方針

一次情報・参考資料:調査実施元「介護のススメ」の調査結果、株式会社IRODORIの発表、厚生労働省「仕事と介護の両立ポイント」
掲載画像:株式会社IRODORI提供(発表元)
発表主体:株式会社IRODORI、一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会
情報確認日:2026年9月26日
執筆:介護福祉士ニュース編集部
内容確認方針:運営者情報・情報の収集確認方針
誤りのご連絡:info@17kaigo.jp

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