この記事のまとめ
3行でわかる要点
- 入浴機器は、座位・寝位、湯に浸かる方式・シャワー方式、常設・簡易設置を分けて選ぶ。
- H.C.R.2026のD区分から6社の代表例を、身体への適合と浴室の条件で比較した。
- 本体の寸法だけでなく、移乗、着脱、給排水、清掃、保守を含む入浴全体で導入を評価する。
介護現場への影響
入浴機器の変更は、本人の安楽と希望、介助者の姿勢、入浴の待ち時間、衛生管理に関係する。設備の機能が増えても、動線と介助手順が合わなければ負担が残る。
確認・行動すること
身体状況と入浴の希望を共有し、実際の浴室図面、給排水・電源条件、介助人数をメーカーへ提示する。デモで移乗から清掃までを通して確認し、緊急時の手順も受け取る。
介護用の入浴用品には、浴槽、リフト、シャワーキャリー、シャワー式入浴装置、簡易浴槽などがある。いずれも清潔の保持と入浴の機会を支えるが、本人が取る姿勢と必要な設備は大きく違う。本記事はH.C.R.2026の公式出展社一覧のD「入浴用品」に掲載された企業のうち、機器の公式情報を確認できた6社を比較する。洗浄剤や流通・販売支援等も含むD区分全体を網羅する記事ではなく、浴槽・入浴機器を導入するための比較検討に焦点を当てた。掲載製品がすべて会場展示されることや、特定の利用者に適合することを保証するものではない。
入浴用品を選ぶ時、最初に整理することは
まず本人が無理なく保てる姿勢と、本人の希望を整理する。座って入れるか、頭や体幹の支えが必要か、脚を曲げにくいか、横になった状態が必要かを確認する。湯に浸かりたいという希望と、シャワーによる洗身を選ぶ事情も区別したい。要介護度は支援の量を考える材料だが、入浴姿勢や機器との適合が同じとは限らない。
次に、居室・脱衣室から入浴場所までの移動と移乗を整理する。普段の車いすからシャワーチェアへ移る場所、裸の状態で待つ時間、洗身時の介助者の位置、浴後に身体を拭く空間まで図にすると、浴槽の大きさだけでは見えない課題が分かる。医療的な配慮が必要な人については、入浴方法や中止基準を看護職等と共有し、メーカーの一般的な対象説明だけで判断しない。
| 方式 | 比較する場面 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| 座位浴・リフト浴 | 座って入浴し、浴槽のまたぎや上下移動を支援 | 座位保持、脚の位置、チェアと浴槽の適合、移乗 |
| 寝位浴 | ストレッチャー等で横になった状態の入浴 | 全身の支持、搬送・旋回、洗身と観察、緊急時の退出 |
| シャワー式入浴装置 | 湯に浸かる方式と異なる洗身・保温の方法を検討 | 本人の感覚、入退浴動作、温度、給排水、清掃 |
| 簡易浴槽 | 居室・在宅等での入浴場所を検討 | 準備・撤去、床と漏水、給湯・排水、保管と乾燥 |
D区分の6社は、どの方式の候補になるか
各社の代表例は同じ設備規模ではない。大型の施設浴槽と居室で使う簡易浴槽を価格だけで並べず、必要な姿勢と使用場所を先に絞ってから同じ役割の製品を比較する。メーカーが示す介助負担の軽減や洗浄性能は、その条件と実際の運用を確認する材料として扱う。
| 会社 | 公式情報で確認した代表例 | 比較する条件 |
|---|---|---|
| 株式会社アマノ | 座位入浴ルーミィ、寝位入浴マリンコートリモ等 | 姿勢の調整、浴槽とチェア・ストレッチャー、設備工事と衛生管理 |
| 株式会社いうら | リフト付シャワーキャリーLS-500、専用バスタブLB150 | 座面昇降とチルト、浴槽への適合、充電と動線 |
| エア・ウォーター・メディカル株式会社 | 美浴Viami、シャワーオール等 | シャワー方式、入退浴動作、給排水と設置場所 |
| 株式会社メトス | 個粋シリーズとリフト・チェア | 自立動作と介助の両方、浴槽の設置、リフトの適合 |
| 株式会社デベロ | 簡易浴槽等の入浴支援製品 | 居室や在宅の設備条件、準備・撤去、搬入・保管 |
| 株式会社トマト | ゆ~らく用寝浴槽、分離式ストレッチャー等 | 寝位・座位の構成、分離・連結、浴槽寸法と材質 |
常設の座位浴・寝位浴は、何を比べるか
アマノのルーミィは、椅座位と長座位のモード、リクライニング・チルト・脚上げの調整を案内する。脚を曲げにくいなどの事情に応じて姿勢を検討する候補だ。公式仕様のAS300は三相200Vの電源や給湯・給水条件を示すため、一般家庭の浴槽と同じ設備でそのまま使えると考えてはいけない。姿勢調整の機能は、本人の安楽を確認して使う必要がある。
寝位での入浴を検討する場合は、アマノのマリンコートリモのように、浴槽とストレッチャー等の組み合わせを確認する。本人を支える面、洗身時の接近方向、浴室入口からの搬送、使用後の清掃までが比較の対象になる。仰臥位で入浴できる設備があっても、呼吸、痛み、皮膚、医療機器の状態に応じた個別の方法は別途検討したい。
メトスの個粋シリーズは、自力での入浴と介助を伴う入浴を想定した浴槽やチェア・昇降機の構成を案内している。本人ができる動作を残しながら、またぎや上下移動をどこで支えるかを検討する候補になる。身体状況が変化した後の対応を考える場合も、どの浴槽・リフト・チェアが対応するかを個別に確認し、すべての構成で同じ条件が満たせると考えないことが重要だ。
シャワーキャリーと既存浴槽を組み合わせられるか
いうらのLS-500は、リフトを備えたシャワーキャリーで、座面昇降とチルトを案内している。公式仕様は全幅535mm、重量62kg、耐荷重100kgである。専用バスタブとの使用や浴槽に対応する構成は、床、浴槽縁、レール等の条件も含めてメーカーへ確認する。耐荷重を満たすことは、本人の姿勢や身体寸法への適合が確認できたことを意味しない。
既存浴室を生かす検討では、浴槽を交換する工事が必要かどうかだけでなく、チェアを旋回できるか、脱衣室へ出入りできるか、段差や排水溝で車輪が不安定にならないかを見る。職員が身体をひねりながら狭い隙間で操作するなら、本体が入っても介助環境として十分とはいえない。左右の介助位置や洗身時の動作を、濡れた床面を想定して確認したい。
電動で昇降する製品では、充電と電池の管理を日常業務に組み込む。誰が充電残量を確認し、どこで安全に充電し、電池交換や故障時にどの方法で退浴するかを決めておく。公式の緊急操作を研修で確認し、使ったことがない職員が勤務に入る場合の説明手順も用意する。軽量な補助具と同じ感覚で取り回さず、機器の重量と保管場所も評価する。
湯に浸からない方式と簡易浴槽は、どう評価するか
エア・ウォーター・メディカルのシャワーオールは、美浴Viamiのシャワー式入浴装置の一つで、コンパクトな設計と低いまたぎを案内している。公式の製品寸法は幅740×奥行1160×高さ1090mmだが、実際には入退浴、介助、給排水接続の余裕が必要になる。寸法上置けることと、本人が支えを得て無理なく出入りできることを分けて確認する。
ミストシャワー等の方式を比較する際は、湯に浸かる入浴と同じ経験と考えず、本人の温かさの感じ方、洗身中の姿勢、会話や観察のしやすさを確かめる。メーカーの水使用量や身体負担に関する説明は試験条件や比較対象を確認し、すべての利用者で同じ効果があると一般化しない。湯に浸からない方式でも、体調の確認、温度管理、見守りが不要になるわけではない。
デベロの簡易浴槽案内は、施設・一般宅等での入浴支援を検討する手掛かりになる。設置場所が限られる場合は、広げた寸法だけでなく、準備するスペース、給湯の確保、排水先、終了後の片付けと乾燥を確認したい。案内には教育機関向けの浴槽セットも含まれるため、研修用と実際の介護用で、想定する用途や同梱品を混同しない。
居室で使用する候補は、床への荷重と漏水対策、電源・配線、給湯・排水ホースの通路をメーカーと建物管理者に確認する。ポンプや昇降機、ホース等が別売なら、本体価格の比較には含まれない。準備と撤去を毎回行う運用では、その作業をする職員の時間と身体負担も導入の判断材料になる。小型や簡易という名称だけで、少人数で扱えると決めないことが大切だ。
分離式ストレッチャーと浴槽の組み合わせは
トマトの浴槽案内は、入浴用分離ストレッチャー「ゆ~らく」用の寝浴槽や、座位・寝位の入浴構成を紹介している。FRP、ひのき、ステンレス等の浴槽を確認できるが、材質の印象だけで清掃しやすさや長期費用を評価しない。指定される洗浄・消毒方法、表面の傷み、点検と交換の条件をそろえて比較したい。
分離・連結する仕組みでは、どの位置で身体を支え、どの確認が終われば次の操作へ進むかを手順に落とし込む。浴槽、ストレッチャー、リフトを別々に購入する場合は、メーカーが認める組み合わせを確認する。マイクロバブル等の洗浄機能を選ぶ時も、メーカーの性能説明だけで洗身や皮膚観察を省略せず、対象者と現場のケア手順を検討してほしい。
浴室設備と衛生管理の確認は、何が必要か
図面には本体と貯湯タンクだけでなく、扉の開き、チェアの旋回、職員の作業位置、緊急時の移動経路を書き込む。搬入経路や床の状態、電源の種類、給湯能力、排水能力も確認する。浴槽が満たされる時間だけでなく、他の機器が同時にお湯を使う時間帯でも運用できるかを設備担当者と相談したい。更新工事中に利用者の入浴機会をどう確保するかも計画に含める。
厚生労働省のレジオネラ対策資料は、設備の衛生管理を考える一次情報になる。循環の有無や湯の交換方式、配管、フィルター、貯湯部等に応じて管理箇所を整理し、メーカーの説明書と施設に適用される管理基準を確認する。ろ過・殺菌装置や自動洗浄の機能があっても、清掃、濃度等の確認、記録が不要になると考えない。
清掃しやすさの比較では、外せる部品、手が届く箇所、指定洗剤、接触時間、すすぎ・乾燥、部品交換を見ておく。新しい湯を使う方式でも、使用者が接触する面やシャワー・ホース等の衛生管理は必要になる。機器ごとの方法を手順書にして、担当者が交代しても実施できるようにする。排水後に見えなくなる汚れや、清掃の完了を誰が確認するかまで決めることが実務的だ。
見積もりとデモで、入浴全体をどう測るか
費用は本体、チェア・ストレッチャー・リフト、必要なオプション、設備工事、消耗品、洗浄剤、点検、修理、撤去を分ける。施設用設備の購入と、在宅の福祉用具利用では制度と費用の仕組みが異なる。厚生労働省の福祉用具取扱通知には、入浴補助用具や移動用リフト等の区分があるが、製品名だけで給付対象と判断しない。具体的な型式、利用目的、購入・貸与の条件を相談員と保険者へ確認する。
デモで測る時間は機器の入浴動作だけに限らない。移動、着脱、移乗、洗身、入浴、退浴、拭き取り、清掃までの時間と担当者を記録する。操作が速くても清掃の待ち時間が長ければ、全体の運用が改善するとは限らない。本人の疲労や不安、職員の無理な姿勢、移乗回数も併せて比較したい。故障時の連絡、部品供給、代替方法も確認し、一台の停止で入浴機会が失われない計画を作る。
| 確認項目 | デモ・商談で残す記録 |
|---|---|
| 本人への適合 | 姿勢、支持、痛み、不安、入浴の希望、体調面の配慮 |
| 介助の流れ | 移乗場所・回数、職員配置、待機、着脱と拭き取り |
| 設備 | 搬入、旋回、電源、給湯、排水、荷重、緊急退出経路 |
| 衛生 | 清掃箇所、指定薬剤、確認・記録、乾燥と交換部品 |
| 総費用と継続運用 | 工事・付属品・消耗品・点検、修理対応と代替方法 |
浴槽までの移乗を再検討する場合は、介護リフトを移乗・設置条件で比較した記事も参考になる。入浴機器側にリフトが付いていても、居室からの移動や最初の移乗が解決するとは限らない。設備担当、介護職、看護職、本人・家族の評価をつなぎ、導入後に実際の使い方を見直す日程まで決めておきたい。
介護福祉士ニュースの考察
編集部の見解
入浴機器の比較で優先したいのは、本人が望む入浴を無理なく続けられるかという点だ。設備単体の処理時間に加え、移乗、着脱、清掃を含む流れを見れば、職員の負担がどこに残るかを具体的に把握できる。
現場で起こり得る具体例
仮に小型機器を導入しても、脱衣室の入口でチェアが曲がれなければ、追加の移乗が必要になることがある。商談時に機器の幅だけを確認せず、実際の経路と職員の立ち位置を再現して試すことが重要だ。
事業所が確認するチェックリスト
- 本人の姿勢と希望に合う方式を試したか。
- 浴室図面と給排水・電源条件をメーカーと照合したか。
- 清掃手順と、停電・故障時の退浴方法を職員が実施できるか。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:本文の各社公式製品ページ、H.C.R.公式出展社一覧、厚生労働省のレジオネラ対策資料・福祉用具取扱通知。公式資料に基づく机上比較で、編集部による実機・入浴試験は行っていません。
資料公表主体:株式会社アマノ、株式会社いうら、エア・ウォーター・メディカル株式会社、株式会社メトス、株式会社デベロ、株式会社トマト、厚生労働省、H.C.R.事務局。
情報確認日:2026年10月8日。
執筆:介護福祉士ニュース編集部
内容確認方針 / 誤りのご連絡:info@17kaigo.jp
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