岸和田市が「身寄りのない高齢者」を支える新モデル構築へ!生前から死後まで見守る、地域包括ケアの未来

介護業界

国の動きと地域での必要性

厚生労働省も社会福祉法の改正で、頼れる身寄りのない高齢者や生活困窮者等への支援(相談対応、入退院等の手続支援、死後事務支援を行う民間団体等との連携・手続支援など)を国の重要施策として明確にしました。

一方で、実際に地域で「相談から死後事務の履行」に至るまでを包括的にサポートする仕組みは、まだ全国的に手探りの状態です。岸和田市社協は、こうした国の動きと、日々の相談で寄せられる高齢者の声を受けて、岸和田市ならではの支援モデルを検討し始めました。これは、介護現場で働く私たちにとっても、今後の地域連携を考える上で注目すべき動きと言えるでしょう。

専門家会議で話し合われたこと(検討段階の案)

先日行われた第1回専門職会議では、弁護士や司法書士といった法律の専門家を招き、具体的な支援の設計について活発な意見交換が行われました。まだ「検討段階の案」ですが、どんな内容が話し合われたのか見ていきましょう。

1. 預託金(費用)の目安

民間サービスのように高額な費用を一括請求するのではなく、市民が利用しやすい費用設定が模索されています。例えば、入院時に20万円、葬儀・納骨に30万円の合計50万円を一つの目安として提示されました。葬儀は生活保護の基準も参考にしつつ、お顔を見て最後のお別れができるシンプルなプランとし、透明性と誠実さを確保するための協議が今後も継続されます。

また、一括での支払いが難しい方のために、月々の年金から分割で預託できる仕組みの検討や、真に支援が必要な少額資産層(預貯金合計が500万円以下、または市民税非課税世帯等)に確実に届くための利用対象基準づくりについても、専門的な検証が重ねられていきます。

2. 遺言書の作成サポート

契約を確実にするための遺言書作成において、費用負担が大きく手続きのハードルも高い「公正証書遺言」の必須化にこだわらず、社協が作成をサポートし「自筆証書遺言」のひな形や相談先を案内するような、市民に最も近い相談窓口としてのあり方が、今後の実務協議を通じて詰めてまいります。これにより、より多くの人が気軽に遺言書を作成できるようになるかもしれません。

3. 賃貸住宅のリスク管理

逝去後の賃貸住宅における原状回復(居室の片付けやペットの引き取りなど、多額の費用が発生するリスク)を想定し、賃貸住宅における保証会社との連携や保険加入など、関係機関を交えた安全な仕組みづくりが引き続き検証されます。

4. 多層的な安否確認

職員の過度な稼働負担を防ぎつつ、異変を確実にキャッチする設計について検討が続けられます。定期的な電話連絡に加え、トイレイレ等に設置し1日使用がない場合に自動的に社協にアラートが飛ぶ「見守り電球(ICT技術)」の導入や、LINEを活用した安否確認が検討されています。

また、お年寄りに「終活登録キーホルダー(登録カード)」を常時携帯してもらい、緊急搬送時には、24時間救急隊等からの問い合わせに社協が本人に代わって医療・終活情報を伝達する仕組みや、冷蔵庫の中に連絡先を配置する「救急キット」との連動についても、実現可能性を含め次回以降に議論が深められていきます。

今後の展望

今回の専門職会議で浮き彫りになった、お年寄りに寄り添う上での様々な実務的課題を解決するため、今後も弁護士・司法書士と当会職員による定期的な協議・検討が地道に継続されます。

特に、

  • 年金暮らしでも無理のない預託金の適正基準や、分割積立を可能にする安心のスキームづくり

  • 作成費用や手続きのハードルが高い公正証書遺言に代わり、誰もが手軽に意思を残せる自筆証書遺言の社協による作成サポートの仕組み

  • 孤独死や長期入院に伴う賃貸住宅の原状回復、ペットの保護といった多様な生活リスクへの対応と、保証会社や保険等との連携模索

といった、実務化に向けた数々の検討事項(案)について、1ステップずつ法的な整合性と実現可能性が丁寧に検証されていきます。本会では、これらの一つひとつの課題の検討を進め、市民の誰もが安心して暮らすことのできる「生前・死後一体型支援モデル事業」の試行導入に向けて、協議が進められます。

また、次のステップとして、地域に存在する医療・福祉・司法の多様な相談窓口や社会資源を一目で把握できる『身寄りのない高齢者等への支援のための資源マップ(仮称)』の作成に向けたキックオフセミナーの開催も予定されています。

この取り組みは、私たち介護従事者が地域の中で高齢者の方々を支える上で、非常に参考になるモデルケースとなるでしょう。今後の進展に注目していきましょう。

お問い合わせ

  • 団体名: 社会福祉法人 岸和田市社会福祉協議会

  • 担当者: 法人本部 大川 浩平

  • TEL: 072-437-8854

  • E-mail: soumu@kishisyakyo.net

  • 受付時間: 平日 9:00〜17:30

  • 公式Webサイト: https://www.syakyo.or.jp

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