この記事のまとめ
3行でわかる要点
- 日本教育クリエイトは介護施設など向けのカスハラ対策支援を2026年10月1日に開始し、9日に発表した。
- 現状確認、研修、対応マニュアルと相談・報告体制の整備を約4か月で支援するという。
- 同日施行の国の義務は事業主が必要な措置を講じること。特定の研修や外部委託の購入は義務ではない。
介護現場への影響
利用者・家族からの言動への対応を職員任せにせず、事業所の判断と支援につなぐ体制の点検材料になる。
確認・行動すること
相談窓口、初期対応、記録、職員の保護、再発防止の流れを自事業所の方針と照合する。判断は厚生労働省の指針・介護現場向け資料で確認する。
株式会社日本教育クリエイトは2026年10月9日、医療機関や介護施設を対象とする「カスタマーハラスメント防止研修・対応マニュアル作成支援サービス」を発表した。提供開始日は10月1日。同日は、改正労働施策総合推進法に基づく事業主のカスタマーハラスメント対策義務の施行日でもある。サービスは法令そのものではなく、事業所が体制を整えるための民間支援だ。
アイキャッチ画像:株式会社日本教育クリエイト提供/@Pressの発表資料(2026年10月9日)
支援サービスで何を整えるのか
発表によると、同社はセルフチェックを通じて施設の現状を把握し、職員研修、対応方針の整理、マニュアル作成、相談・報告体制の整備まで支援する。標準的な期間は約4か月。同社のサービスページは、現状ヒアリング、内容のすり合わせ、完成・納品の打ち合わせ3回を基本に示している。研修はオプションの実践研修も案内されており、契約範囲と費用は個別見積もりだ。
マニュアルの想定項目は基本方針、カスハラの定義、相談対応フロー、初期対応、発生後の職員への配慮、再発防止など。すでにマニュアルがある施設は改訂相談も受け付けるという。ただし、標準期間で必ず完成することや、導入による離職率低下などの効果が実証されたとまでは発表されていない。
10月1日施行の義務と民間サービスの違い
厚生労働省の改正法・指針リーフレットは、2026年10月1日から事業主に防止措置を義務付けると示す。対象となる言動は、顧客等の言動、社会通念上許容される範囲を超えること、労働者の就業環境が害されることの三要素を満たすものだ。福祉施設の利用者も「顧客等」に含まれる。苦情や配慮の求めを一律にカスハラと決め付けてはいけない。
同資料が求めるのは、事業主の方針と対処内容の周知、相談窓口の整備、迅速な事実確認と被害職員への配慮、再発防止、悪質事案への対処方針、相談者のプライバシー保護と不利益取扱いの防止などだ。研修やマニュアルの外部委託は、その実施方法の一つに過ぎない。既存の体制で必要な措置ができているかを先に点検したい。
介護現場では何を判断するのか
例えば訪問介護で家族から契約外の作業を繰り返し要求された場合、職員がその場でサービス内容を変更したり、反対に直ちに利用者を拒否したりするのは適切とは限らない。契約とケアプラン、要求の内容・態様、職員の安全を分けて記録し、管理者とケアマネジャーに共有する流れが必要だ。暴力や脅迫があれば、安全確保と関係機関への相談も検討する。
厚生労働省の介護現場向けマニュアル・研修資料は、事業者単独で対応が難しい場合の地域連携にも触れる。さらに、ハラスメントがあった事実だけで、あらゆるサービス提供拒否が正当化されるわけではないと説明している。利用者への必要な支援と職員の安全の双方を守る判断が要る。撮影機器の導入を検討する場合は、装着型カメラと撮影時の注意点を整理した記事も参照できるが、カメラ設置自体が法令上の義務ではない。
管理者は、新しいマニュアルを作る前に「職員が誰に、いつ、どの情報を報告するか」「相談後に誰が利用者側と話すか」「夜間や単独訪問で安全をどう確保するか」を具体的に確認したい。職員の定着も含めた職場環境の全体像は、介護現場の人手不足と対策の解説で整理している。
介護福祉士ニュースの考察
編集部の見解
資料の完成をゴールにせず、職員が実際に相談した際に管理者が引き取り、利用者支援を継続できる運用を試すことが重要だ。外部支援を選ぶ場合は、対象サービス、研修の有無、成果物、費用、完成後の改訂支援を確認したい。
事業所が確認するチェックリスト
①窓口と代行者が明示されているか。②契約外要求と正当な苦情をどう区別するか。③記録の保存先と閲覧権限は決まっているか。④緊急時に複数人対応や警察・保険者等へつなぐ基準があるか。⑤相談した職員の不利益取扱いを防いでいるか。
従来との比較
厚労省の介護分野の資料ではカスハラ防止方針等を推奨してきた。2026年10月1日からは改正法に基づく事業主の措置義務が加わった。過去の資料だけに依存せず、新しい指針に合わせて見直す必要がある。
記事情報・確認方針
一次情報・参考資料:日本教育クリエイトの発表/サービス詳細/厚生労働省の改正法・指針リーフレット/介護現場におけるハラスメント対策
発表主体:株式会社日本教育クリエイト
情報確認日:2026年10月9日
執筆:介護福祉士ニュース編集部
内容確認方針:編集方針
誤りのご連絡:info@17kaigo.jp
