介護リフトメーカー比較|H.C.R.2026「A-3 移動機器」を移乗・設置条件で選ぶ

車いす・歩行器・介護ベッド・移乗リフト・見守り機器を描いた福祉機器比較特集のイメージ 介護テクノロジー
介護福祉士ニュース編集部制作(AI生成のイメージ。実際の会場・出展製品ではありません)

この記事のまとめ

3行でわかる要点

  • 吊り上げ式、立位支援型、座面昇降型は身体を支える方法が違う。移乗先と本人の身体機能から候補を絞る。
  • H.C.R.ナビのA-3掲載20者を起点に、公式情報を確認できた10社を9つの比較枠に整理した。
  • 介護保険では移動用リフト本体と吊り具は別の扱い。設置工事、給付条件、保守費用まで確認する。

介護現場への影響
抱え上げの負担を見直すには、本体の購入だけでなく、利用者別の適合評価、移乗動線、職員の習熟、点検体制を一緒に設計する必要がある。

確認・行動すること
ベッド・車いす・トイレの寸法と介助場面を記録し、福祉用具専門相談員やリハビリ職、メーカーと実環境で試用する。吊り具と本体の適合、必要な介助人数、緊急時の対応を確認する。

介護リフトを比較するとき、耐荷重、価格、小ささだけで決めると、導入後に「ベッド下へ脚が入らない」「トイレまで届かない」「本人が支持部に合わない」という問題が起こり得ます。リフトが担うのは、人を高く持ち上げることだけではありません。ベッドから車いすへ移る、トイレで衣服を整える、床での生活から椅子へ移るなど、生活動作をつなぐための支援です。

本記事はH.C.R.ナビのA-3「移動機器(リフト等)」出展企業一覧を起点にした比較検討ガイドです。2026年10月8日の確認時点で20者が掲載されています。以下では、国内向け製品情報を確認できた10社を9枠で比較します。Etac ABと国内取扱会社のパシフィックサプライは同じ製品の情報を扱うため一つの枠にしました。全出展者・全製品の網羅や実機ランキングではありません。各社のA-3登録は、本文で紹介する機種の会場展示・在庫・本人への適合を保証するものではありません。

介護リフトは何を支える?種類と用途の違い

最初に「本人の身体をどう保持するか」と「機器がどこを動くか」を分けます。吊り具で身体を保持するリフトには床走行式、据置式、天井走行式などがあります。立位支援型は座位から立位への動きや保持を支え、座面昇降型は座った面の高さを変えます。これらは同じ動作を同じ条件で行う機器ではありません。

種類比較する場面先に確認する条件
吊り上げ式・床走行ベッドと車いすなどの移乗脚部を入れる隙間、開脚幅、旋回、床材、吊り具
据置・ベッド設置式決まった位置での移乗支柱・ベースの配置、アームが届く範囲、ベッドとの組み合わせ
天井走行式レールでつないだ場所への移乗建物・固定方法、レール経路、移乗先、工事と保守
立位・起立支援型座位間移乗、衣服の着脱、排泄介助支持部への適合、姿勢・身体機能、痛み、使用条件
座面昇降・段差対応床から椅子への移乗、座面高さの調整など座位保持、座面への乗り移り、段差と機器の対応範囲

例えば、車いすで長距離を移動することと、ベッドからその車いすへ移ることは別の課題です。移乗先の座面、アームサポート、フットサポートも確認します。車いす側の比較軸はA-1の車いすメーカー比較で整理しています。歩行が可能な場面と移乗介助が必要な場面が混在する人は、A-2の杖・歩行器比較も含め、生活場面ごとに用具を組み合わせて考えます。

A-3のメーカー・取扱会社を用途別に比較する

下表の「確認点」は編集部が提案する選定上の問いです。機能説明は公式資料に基づきますが、その機能が特定の利用者に適するかは試用と専門職による評価が必要です。メーカーと取扱会社を区別し、同じブランドを二重に数えて優劣を付けないよう整理しました。

企業・公式製品情報比較の入口検討時の確認点
アビリティーズ・ケアネット株式会社取扱製品のサンリフトミディ低床/ミニ。床走行式ベッド下の隙間と、開脚・閉脚時の幅
アルジョ・ジャパン株式会社Maxi Move 5の床走行型と、Sara Flexの起立支援型吊り上げと立位支援を分け、機種・オプションをそろえて評価
Etac AB/パシフィックサプライ株式会社モーリフト スマート150N。折りたたみできる床走行式収納・運搬、専用スリング、現行機種の部品と保守
株式会社ウェル・ネット研究所SOELの床走行、据置、天井走行など直線・XYレールの経路と、支柱を置く場所
株式会社モリトーつるべーBB2セット。ベッド設置式ベッドを利用する設置条件、アームの届く範囲、吊り具
株式会社ミクニ ライフ&オートマイティエースⅡ。多関節アームの電動巻き上げ式設置場所ごとのセット、浴室仕様、本体ユニットの移設
株式会社FUJIHug L1/T1/L1WP。座位間移乗と立位保持の支援体格と支持部、身体条件、水回りの機種区分
マッスル株式会社ROBOHELPER SASUKE。専用シートとアームによる移乗支援シートの敷き込み、ベッドと車いすへの接近、適応条件
株式会社コムラ製作所独立宣言ムーブ。キャスター付き座面昇降機器床から座面へ乗り移る動作、座位保持、移乗先の高さ

このほかA-3にはGuldmann A/S、階段・段差対応機器の企業、支援・研究機関なども掲載されています。施設の建物や必要な移動経路によっては、それらも候補になります。本記事の9枠は、製品情報から検討を始めるための選択例であり、掲載されていない企業の品質が低いという意味ではありません。

床走行式はベッド下と旋回スペースから比べる

床走行式は場所を変えて使える一方、脚部を開く、ベッド下へ差し込む、車いすを囲むように接近するといった動作に空間を使います。「本体がドアを通る」だけでは、移乗まで完了できるか分かりません。ベッドの昇降機構、車輪、配線、床の段差なども含め、利用状態での寸法を測ります。

アビリティーズ・ケアネットのサンリフト2機種は、同じ床走行式でも脚部の高さと幅が異なります。公式仕様を同じ項目で並べると、コンパクトさと低床への対応が別の条件であることが分かります。

公式仕様サンリフトミディ低床サンリフトミニ
最大荷重110kg100kg
閉脚時の全幅(外寸)640mm540mm
開脚時の全幅(外寸)1,120mm970mm
閉脚時の全長1,190mm1,100mm
シャーシ高さ60mm105mm
重量(バッテリー含む)35.5kg33.9kg

出典は上記の公式サンリフト製品ページです。ミニは幅と全長が小さい一方、シャーシ高さはミディ低床より45mm高くなります。ここから「狭い室内だからミニ」と決めず、ベッド下に入るかを先に確認する必要があります。耐荷重を満たしていても、吊り具のサイズや昇降範囲が合うとは限りません。

パシフィックサプライの現行情報では、モーリフト スマート150Nは2026年1月13日発売の後継機種です。工具なしの折りたたみ、耐荷重150kg、重量25kg(バッテリーを除く)、吊り具別売が案内されています。サンリフトの重量はバッテリー込みなので、数字だけで軽量順位を付けることはできません。収納する頻度、運ぶ人、運搬経路まで同じ条件にして比べます。

アルジョのMaxi Move 5は、姿勢調整や押し引き・旋回を支援する機能を案内しています。ただし、Motion Assistやキャスター、耐荷重などの構成を確認する必要があります。カタログの最大値や機能名を、すべての納入仕様に備わるものとして見積もりへ転記しないことが重要です。

据置・天井走行式は移乗先まで届く配置を考える

決まったベッドと車いすの間で繰り返し移乗するなら、据置・ベッド設置式は比較の候補になります。床走行機を毎回持ち出す負担と、支柱やベースが常時あることによる生活動線への影響を比べます。アームの先端が目的位置へ届くだけでなく、本人、吊り具、介助者が動ける余裕も必要です。

モリトーのつるべーBB2セットは、ベッドの重さを利用するベッド設置式で、2関節アームを採用しています。ベッドを含めた設置条件が重要な製品です。ベッドを交換する、位置を変える、車いすの座面を変えるときは、リフトだけを同じまま使えると考えず、取扱事業者に組み合わせを再確認します。

ミクニ マイティエースⅡは、多関節アームと着脱可能な本体ユニットを用いる電動巻き上げ式です。ベッド、浴室などのセットが別に案内され、浴室では浴室タイプの本体を使用する注意が示されています。複数の場所へ設置する計画なら、何を共用でき、何を各場所に残すのか、移設する担当者と保管・点検方法を見積もり前に整理します。

ウェル・ネット研究所のSOELは、天井走行に加え、直線レールのCX-Line、XYレールのCX-Crossなどを案内しています。レール方式は通したい経路から検討します。ベッド上だけでなく、車いす、便器、入浴設備までの位置関係を図面に書き、届かない部分に人力の抱え上げが残らないかを見ることが実務上の要点です。

天井走行式と据置レール式は、似た移乗経路を作れても設置方法が異なります。建物への固定、天井高さ、支柱の足元、照明・ドアとの干渉、退去時の撤去、賃貸住宅の承諾まで確認します。「大きな工事が不要」という製品説明があっても、設置条件の現地確認が不要になるわけではありません。

立位支援型と専用シート型は適応と準備を比較する

立位支援型は、排泄や衣服の着脱を含む介助で検討しやすい機器です。ただし、「自分で立てない」という情報だけでは適合を判断できません。座位で機器に接近できるか、支持部に身体を合わせられるか、痛みや関節の動きに制約がないか、本人が動作を受け入れられるかを確認します。認知症の有無だけで一律に除外・適応とする判断も避けます。

FUJIのHugは、スリングシートを使わず座位間の移乗と立位保持を支援する機器です。現行のHug L1はL1-02で、旧L1-01と混同しないことが大切です。公式仕様ではL1の全幅550mm、T1の全幅620mm、両機種の利用者規定は身長140~180cm・体重100kgとされています。体格の数値に収まることと身体条件が適することは別です。浴室用途では防水タイプL1WPと、通常型を分けます。

アルジョのSara Flexも座位から立位への動きを支援しますが、Hugと支持の仕組みや使用する付属品は同一ではありません。同じ人・同じ移乗先で、準備、起立、衣服操作、着座までを評価します。メーカーが一人介助を想定する説明をしていても、施設の全利用者を一人介助へ変更できるという意味ではありません。

マッスルのROBOHELPER SASUKEは、ベッド上に敷き込んだ専用シートへアームを通し、持ち上げて姿勢を調整し、車いすへ着座させる方式です。公式仕様の型式RS1-12Y-Bでは適応荷重120kg以下、適応身長140~180cmとされています。シートが必要な方式を「準備が多いから不利」と評価する前に、その準備で本人の姿勢をどう保持できるか、敷き込み時の負担や洗濯まで含めて比較します。

コムラ製作所の独立宣言ムーブは、座面の高さを変えて床移乗などを支える機器です。座板高さは30~605mm、先端は最低15mmと案内されています。これは吊り具で身体を保持するリフトの代わりに誰でも使えるという意味ではありません。低い座面へ乗り移る動作と座位保持を評価し、生活習慣や目的に合う場合の候補として考えます。

吊り具は本体と同じくらい重要な選定項目

吊り上げ式では、本体の耐荷重だけでなく、吊り具の形状・サイズ、頭部や体幹の支持、脚部の配置、ハンガーへの接続方法を確認します。トイレ用として衣服操作の空間を確保する設計と、身体を広く支える設計では、必要な身体条件も変わります。座位保持が難しい人に、衣服を整えやすいという理由だけで吊り具を選ばないようにします。

製品の色や見た目が似ていても、ループ・クリップなどの接続方式、ハンガー、サイズの組み合わせを自己判断で流用しないことが必要です。メーカーが認めた適合を確認し、本体・吊り具・接続部を一組として管理します。利用者別の記録には型番、サイズ、取り付け条件、姿勢の確認結果を残し、他の職員が同じ方法を再現できるようにします。

洗濯・消毒・乾燥の条件も吊り具ごとの説明書に従います。清潔にするつもりの処理が素材や縫製を傷める場合があるためです。傷み、ほつれ、ラベルの読みにくさなどを点検し、交換基準と予備を決めておくことを編集部は推奨します。緊急下降や停止、ブレーキの操作も機種ごとに異なるため、一つの一般手順で全製品を扱わないことが大切です。

介護保険は本体・吊り具・工事を分けて確認する

厚生労働省の制度案内では、移動用リフトは吊り具の部分を除いて福祉用具貸与の対象種目とされ、吊り具の部分は特定福祉用具販売の対象種目として扱われます。リフト一式が同じ仕組みで給付されるわけではありません。また、要支援1・2と要介護1では移動用リフトの貸与は原則対象外ですが、状態等に応じた例外の判断があります。

給付対象の取扱通知は、移動用リフトの型式を床走行式・固定式・据置式として整理し、住宅の改修を伴うものを除いています。商品名に「リフト」があること、TAISコードがあること、展示会のA-3に載っていることだけで保険給付は決まりません。工事を伴う設置の費用を、自動的に介護保険の住宅改修費で賄えると考えることも避けます。

確認先はケアマネジャー、指定福祉用具事業者、市区町村です。本人の認定・状態、具体的な型式と設置方法、必要な手続きを伝え、利用開始前に確認します。施設共用機の購入と、在宅利用者個人への貸与も別の計画です。助成金を検討する場合は、対象機器だけでなく申請前の発注可否、対象経費、期限を当該募集要項で確かめます。

価格比較は導入後の費用と運用までそろえる

本体価格が低くても、必要な吊り具や設置・点検が別料金なら総額は変わります。反対に、初期費用が高い方式でも、特定の動線で繰り返し使う運用に合う可能性があります。利用者数や移乗回数が違う施設同士の事例を、そのまま自施設の費用対効果として使わないことが重要です。

見積もり項目そろえて比較する条件
導入本体、吊り具、ハンガー、充電器、搬入、設置、建物調査、研修
日常運用機器を取りに行く動線、準備・片付け、洗濯、充電、保管、必要な介助人数
維持定期点検、バッテリー・消耗品、吊り具交換、故障対応、代替機
変更・終了利用者の状態変化、機種変更、移設、撤去、契約終了時の費用

導入効果は「移乗が何秒短くなったか」だけでなく、抱え上げが残っている場面、介助者の負担、本人の不安、用具が使われない理由も記録します。比較前後で対象者や手順が違えば数字は解釈しにくくなります。安全を優先した準備が増えた場合、その時間だけを非効率と扱わない評価が必要です。

試用から定着まで:事業所の確認チェック表

厚生労働省の腰痛予防の案内は、全介助の必要な対象者の抱え上げにリフト等を積極的に使い、原則として人力での抱え上げを行わせない方針を示しています。リフトは職員の力や慣れだけに頼る介助を見直す手段です。ただし、導入した台数だけでは実際の作業改善を確認できません。

段階確認すること記録・担当
候補を選ぶ前移乗元・移乗先、身体機能、体格、本人の希望、抱え上げが残る場面利用者別に介護職・看護職・リハビリ職等で共有
実環境で試用接近、準備、保持、移動、着座、衣服操作、本人の反応適合・難しい動作・調整内容を記録
使用開始職員の習熟、必要人数、保管・充電、点検、緊急時の対応利用者別の作業手順と運用責任者を設定
継続評価身体状態の変化、痛み、不安、ヒヤリ、故障、使わない理由再評価の時期・相談先・停止判断を明確化

実演で成功した手順も、夜間の職員数や家具の位置が違えば再現できない場合があります。最初は実際に使う職員が一連の操作を行い、指導を受けながら評価します。利用者を乗せたまま手順書を探すような運用を避け、異常時の連絡先や代替の介助方法も事前に決めます。

よくある疑問:リフトがあれば一人介助にできる?

リフトを導入すると、必ず一人介助になりますか?
いいえ。機器の設計・説明書と、本人の状態、介助場面、職員の習熟を踏まえて必要人数を決めます。人員削減を先に決めてから用具を当てはめると、準備や着座時の支援が足りなくなるおそれがあります。

狭い家なら、小さい床走行式が最適ですか?
本体寸法だけでは判断できません。開脚・旋回・ベッド下の条件まで実測し、同じ移乗先で据置式なども比較します。家族が機器を保管し、必要なときに持ち出せるかも確認します。

床から吊り上げられる機種なら、転倒後すぐ使えますか?
床からの吊り上げ能力と、転倒した人をその場で動かしてよいかは別です。負傷の可能性など本人の状態を確認し、施設の緊急対応手順と医療職の判断に沿って対応します。

リフトを使うと、本人の力を使わなくなりますか?
機器名だけで決まりません。本人にできる動作、支援が必要な動作、移乗の安全性を分けて目標を設定します。残存能力の活用を理由に無理な抱え上げや起立を続けず、専門職と支援方法を見直します。

介護福祉士ニュースの考察

編集部の見解
比較検討のゴールは、最も高機能な機器を買うことより、必要な場面で職員が迷わず使え、本人が安心して生活動作へ移れる状態をつくることだと考えます。展示会では機器の実演に加え、「自施設のこのベッド・このトイレでどう使うか」を写真や寸法で相談すると、導入判断を具体化しやすくなります。

現場で起こり得る具体例
共用リフトは一台あるものの、保管場所が遠く吊り具も見つからず、排泄介助で人力の抱え上げが続くことが考えられます。この場合は台数だけでなく、配置、吊り具の管理、充電、職員教育を見直す必要があります。これは想定例で、特定製品の事故・導入事例ではありません。

事業所が確認するチェックリスト

  • 本人の適合と生活動線を、実際の機種・吊り具で確認したか。
  • 本体の寸法だけでなく、開脚・旋回・アームやレールの範囲を確認したか。
  • 必要人数、緊急操作、日常点検を各勤務帯で再現できるか。
  • 給付・設置・保守・消耗品・故障時の代替を含めて費用を比較したか。

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